出版社内容情報
宮部 みゆき[ミヤベ ミユキ]
著・文・その他
内容説明
父親が殺され、瓶屋を仕切ることになった一人娘の史乃。気丈に振る舞う彼女を信之輔は気にかけていた。一方、新兵衛の奉公先だった生薬問屋の当主から明かされた二十年前の因縁と隠された罪。正は負に通じ、負はころりと正に変わる。平四郎の甥っ子・弓之助は絡まった人間関係を解きほぐすことができるのか。『ぼんくら』『日暮らし』に続くシリーズ第3作。
著者等紹介
宮部みゆき[ミヤベミユキ]
1960年東京都生まれ。’87年『我らが隣人の犯罪』でオール讀物推理小説新人賞を受賞してデビュー。’89年『魔術はささやく』で日本推理サスペンス大賞を受賞後、’92年『龍は眠る』で日本推理作家協会賞長編部門、同年『本所深川ふしぎ草紙』で吉川英治文学新人賞、’93年『火車』で山本周五郎賞、’97年『蒲生邸事件』で日本SF大賞、’99年『理由』で直木賞、2001年『模倣犯』で毎日出版文化賞、’02年司馬遼太郎賞、芸術選奨文部科学大臣賞文学部門、’07年『名もなき毒』で吉川英治文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yoshida
386
親へのあらぬ誤解から始まった悲しい事件。巻添えで殺されたお継が不憫。事件に加担した史乃に惹かれる信之輔の手落ちにより、史乃ら下手人二人は逃げ出す。悔いる信之輔は周囲の人の助けや、新たな経験もあり成長する。事件は解決するがやや後味の悪い。新たに弓之助の兄、淳三郎が現れる。魅力的な人物が増え、これからの活躍が気になるところです。おでここと三太郎の恋も実ると良いですね。シリーズとして是非とも次作も読みたい時代物。日本に宮部みゆきさんという素晴らしい作家さんがいて、リアルタイムに作品を読める幸せな時代である。2016/01/22
ミカママ
292
上巻に続いて一気読み。長いなぁ。下巻の冒頭で下手人の目星がついていたにもかかわらず、肝心の捕り物は600ページあとほどまで長引かすか?!殺人の動機が少々解せなくて、自分だったらそんなことで人を殺めるまではいかないよなぁ、という後味の悪さがありましたが、これは捕り物の妙味を読む本ではなく、あくまでキャラを楽しむためのもの。丸助が最高。そして何とも味のあるタイトルではありませんか。続編出るのかな?2013/06/18
文庫フリーク@灯れ松明の火
234
心に響くシーンと言葉が多過ぎて。好きなのはお徳の料理詰まった重箱囲んで、十徳長屋での河合屋兄弟と丸助の酒宴。「こういうにぎやかなの、久しぶりなんで」こういう気持ちをどう表せばいいかわからないから、とりあえず笑ってみたのだ(本文より)丸助ならずとも胸が詰まる。糸の切れた凧兄貴の言動に、応酬する弓之助の悪口雑言。この兄弟と酒宴ならば自然と顔はほころび胸が温かくなる気がする。「儂はここへ来たかった。耕人堂へ来たかった」源右衛門もレギュラー確定ですね。宮部さんは人を描くのが好きなのだろうな。続→2011/10/02
まりもん
226
とっても読み応えのある話だった。弓之助にとってはまだ経験していない恋の部分を平四郎の奥さんが補ったりして色んな方向の解釈を考えさせられた。 弓之助の兄である淳三郎もなかなかの人物なので今後も登場して欲しい。今回はちょっとだけ弓之助の兄弟のことも解って良かった。史乃の気持ちはちょっと同情できない。2011/09/26
よむよむ
202
うわぁぁ、読み終わってしまったぁぁ! もっとゆっくり読もうと思っていたのに・・・弓之助の冴え渡る推理どおり、あーなってこーなった顛末。それぞれ収まるところに収まりはしたけれど、やっぱり切なさがほんのり残る。この余韻がたまりませんねぇ 人の愚かさ、やさしさ、心の機微をたっぷり堪能させていただきました。宮部先生、ありがとうございました。また数年後で良いので、続編を書いてくださいましね~『男はどこまでも莫迦で。女はどこまでも嫉妬やきだ。』2011/10/23