出版社内容情報
歌野 晶午[ウタノ ショウゴ]
著・文・その他
内容説明
人気絶頂の歌手ROMMYが、絞殺死体となって発見された。ROMMYの音楽に惚れ込み、支え続けた中村がとる奇妙な行動。一瞬目を離した隙に、ROMMYの死体は何者かに切り刻まれ、奇妙な装飾を施されていた―。一体誰が何のために?天才歌手に隠された驚愕の真相とは。新本格の雄、歌野晶午の真髄がここに。
著者等紹介
歌野晶午[ウタノショウゴ]
1961年千葉県生まれ。東京農工大卒。’88年、島田荘司氏の推薦を受け『長い家の殺人』でデビュー。2004年に『葉桜の季節に君を想うということ』(文春文庫)で第57回日本推理作家協会賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
セウテス
63
ミステリーには違いないが、「葉桜の~」と同じ着目点で描かれた印象を受ける。レコーディングスタジオの控え室で、歌手Rommyが絞殺されて見つかる。音楽業界の都合から警察への通報を渋っている間に、なんと遺体が切断され胴体部分が無くなってしまう。殺害犯は誰なのか、何故胴体部分を持っていったのか。写真やデザイン画など様々な方法で、現実の様に描いている事に驚きます。本作の特徴は殺害犯は解るが、体をばらした理由についてどんでん返しがあるという、殺害意外の点に重点を置いている事であり、好みの分かれる所で有ると思います。2016/04/20
すたこ
38
★★★★★すごかった。ミステリーとしてよりも、一つの物語として。圧倒的な読み応え。ROMMYという歌手の半生、20年前だからこそ書かれた作品、そこに重きを置くと色々と考えさせられる。間に挟まれるイラストや写真からリアリティーが出て世界感も広がり、飽きることなく読めた。途中の1行の衝撃から犯人がわかり、そこから驚きの展開に振り回される。そして深く切ないテーマにたどり着き、悲しくもあり感動もした。いつかまた再読したい。2015/08/05
ジャムうどん@アカウント移動してごはんになります
34
単行本でのサブタイトルは「そして歌声が残った」ラストシーンを踏まえると胸が苦しくなります。作中に一流のエンターテイナーとは、観客が痒いと感じているところのすぐ近くを掻き続けて観客を離さない、あるいははるか離れたところを掻いて新しい満足を与える、といった表現がありましたが、歌野さんは後者であり間違いなく一流のエンターテイナーです。少し前の時代を描いたもののようで、トリックや心情などもその時代に合わせた印象を受けました。良作です。 2018/01/15
ピエール
23
これは素直に歌野作品の中でも上位に入る良作。人気絶頂の歌手ROMMY(ロミー)が音楽スタジオで絞殺死体となって発見された。最初はただの犯人当てミステリかな、くらいに思って読んでいましたが、いい意味で覆されてしまいました。本格ミステリとして設定された驚きも勿論満足でしたし、なによりもROMMYの人生を綴った1つの物語としての完成度が非常に高いと感じられ、最後のシーンでは切なく胸が苦しくなりました。中村くんの行動にも意味があったのだと…。歌野さんの転換となった作品であることに頷ける一冊でした。2018/11/06
瀧ながれ
19
顔だちもわからない厚化粧をして、派手な衣装をつけて登場する歌姫ROMMY。スタジオの仮眠室で絞殺死体として発見された彼女は、しばらくののちにバラバラにされ、胴を持ち去られていた。誰が殺し、誰が切ったのか、…ということはメインテーマではなくて、これは「ROMMYという存在の死」に自分勝手で打算的な関係者たちが翻弄されるのを見る作品だと思った。ROMMYの正体にはわりと早くから気づくので、ミステリーとして読むには弱いけど、いろんな仕掛けがしてあっておもしろかったです。ひとり、とても不運な女性がいて悲しい。 2018/08/21
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