出版社内容情報
西太后の生涯が、ゆっくりと幕を閉じようとする時、新しい時代に向け、その力を存分に発揮し始めたのは張作霖や袁世凱であった。半世紀にわたり、落日の清王朝を1人で支えた西太后(シータイホウ)が人生の幕を閉じようとするころ、張作霖(チャンヅオリン)や袁世凱(ユアンシイカイ)は着々と力を蓄えていた。死期を悟った西太后が考え抜いて出した結論は、自らの手で王朝を滅ぼすということだった。次の皇帝として指名したのは、わずか3歳の溥儀(プーイー)。その悲壮な決意を前に、春児(チュンル)は、そして光緒帝は――。(講談社文庫)
浅田 次郎[アサダ ジロウ]
著・文・その他
内容説明
半世紀にわたり、落日の清王朝を一人で支えた西太后が人生の幕を閉じようとするころ、張作霖や袁世凱は着々と力を蓄えていた。死期を悟った西太后が考え抜いて出した結論は、自らの手で王朝を滅ぼすということだった。次の皇帝として指名したのは、わずか3歳の溥儀。その悲壮な決意を前に、春児は、そして光緒帝は―。
著者等紹介
浅田次郎[アサダジロウ]
1951年東京都生まれ。1955年『地下鉄に乗って』で吉川英治文学新人賞、1997年『鉄道員』で直木賞、2000年『壬生義士伝』で柴田錬三郎賞、2006年『お腹召しませ』で中央公論文芸賞、司馬遼太郎賞、2008年には本作品で吉川英治文学賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
379
物語がスケールを広げ始める二巻。一巻が張作霖と馬賊の紹介メインであったのが、場面転換が増え、登場人物の国籍も豊かになることが、そう感じさせる要因の大部分だろう。西太后と光緒帝の死に向けて、人や思惑が錯綜しながら蠢く様子が細かく描かれ、後半に向けて尻上がりで面白くなる。しかし、やはり気になってしまうのは袁世凱の描写の一貫性のなさ。袁を視点としたパートは無くして、周囲の眼だけで描いた方がすっきりしたのではないかと思う。張作霖と春雷は安定のアウトローぶりを見せており、次巻ではもう少し出番も増えるかと楽しみ。2021/08/15
遥かなる想い
156
西太后が死去。この巻は光緒帝やミセスチャンなど、蒼穹の昴でおなじみの登場人物が多く、なぜか懐かしかった。清国を自ら幕を引くために、わずか5歳の溥儀を次期の皇帝に指名し、なくなっていくという設定は浅田次郎ならではの物語なのだろう。光緒帝もなくなり、時代は袁世凱・張作霖そして 日本軍部進出への展開となる予感がする。 2011/04/10
レアル
116
ここで歴史が動いた。1巻が張作霖中心なら、2巻は西大后が中心の話だった。その西大后が。。そして「ラストエンペラー」でお馴染みの溥儀の登場!ドラマは中盤だけど、この1巻で十分堪能した感じがする。そして春児はこの先どうなるのか!2013/09/01
Die-Go
100
図書館本。『蒼穹の昴』『珍妃の井戸』から連なる、中国清代の末期を描く。物語は巻末に急転直下の展開を見せる。ここからどのような広がりを見せて行くのだろうか。★★★★☆2020/08/01
k sato
92
史実か虚構か!悪名高い西太后。浅田次郎の解釈は真逆だった。国土と四億の民を植民地化から守り、甥・光緒帝の名を汚さぬよう自ら泥をかぶる慈悲深い女性として描かれている。西太后の命により清国最後の皇帝・溥儀が即位。その直後、西太后と光緒帝は服毒心中。溥儀の父・醇親王載灃が三歳の我が子を抱いて紫禁城に向かうシーンは筆舌に尽くし難い。幼児が不幸を背負う命運にあるなんて残酷すぎる。溥儀を選んだ政治的背景は理解できなかったけど、宣統帝の名に愛新覚羅家の功績を宣揚する意味があると解釈したのはさすが浅田次郎。第三巻へ続く。2023/11/27