講談社文庫<br> とらんぷ譚〈2〉悪夢の骨牌(かるた) (新装版)

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講談社文庫
とらんぷ譚〈2〉悪夢の骨牌(かるた) (新装版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 253p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062765855
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

ゴシック風の豪奢な洋館のサロンで開かれる賀宴の出席者は、十人の客とサロンの女主人、そして令嬢柚香。そこで語られるのは、現実と非現実をあざなう奇譚の数々。ことばの錬金術師として当代随一の著者が、鮮やかな言語魔術と精緻な構想を駆使、幻想の宇宙体を作る連作とらんぷ譚2。泉鏡花文学賞受賞作。

著者等紹介

中井英夫[ナカイヒデオ]
1922年、東京・田端に生まれる。東大在学中に吉行淳之介らと第14次「新思潮」を創刊。「短歌研究」「短歌」編集長として葛原妙子、塚本邦雄、中城ふみ子、寺山修司、春日井建らを紹介。’64年、塔晶夫の筆名で『虚無への供物』を刊行、推理小説の墓碑銘とまで絶賛された。その後、『幻想博物館』『悪夢の骨牌』(泉鏡花文学賞)などの多彩な著作で人気を博した。’93年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

コットン

60
三大奇書の一冊『虚無への供物』の著者による寓意的な幻想作品。信奉者の多い選ばれた者としてのサロンの女主人と令嬢の行動がなんとも凄すぎる。2017/03/03

財布にジャック

49
第2弾は、まさかのSF?前作にも増して、難解で出口の無い迷路を彷徨わされるような短編集でした。巻末に「泉鏡花賞受賞インタビュー」が載っているのですが、中井さんは小学生で乱歩、中学の時に夢野久作や小栗虫太郎を読まれたって仰っていました。なるほど、そういう方が作家になるとこういう作風になるのだろうと妙に納得してしまいました。幻想的な世界に酔わされて、結局続編も購入してしまいました。まだ2冊続きが読めると思うと幸せです。2011/10/31

*maru*

41
“灯台の家”で知られる洋館で月毎に催される賀宴。風変わりなサロンの女主人と令嬢。彼女たちの口から招待客へ賀宴の趣旨が告げられる。失踪したふたりの青年と夢魔の館。10名の招待客へ10通の便りが届く…。『幻想博物館』の方が読みやすく、こちらは少々難易度高めでした。導入部はゴシックミステリの色合いが強かったが、通読すると完全に幻想譚だった。言語魔術に操られアケロンの流れに身を委ねてしまった読み手は、自己愛に満ちた狂笑が響き渡る耽美な魔境へと堕ちてゆく。見えているものなんて、なんのあてにもならない─。…ですよね。2019/04/09

さっとる◎

34
好みで言えば一作目「幻想博物館」のほうだがこれもまた唸らされる出来。って当たり前か、泉鏡花賞だもの。とらんぷ譚の二作目はクローバー13編。絶対的女王柚香から始まる幻想悪夢。耽美で妖しい、でも今となってはそう目新しくもない入り。それでいながら読み進めるうちに戦後の時間が入り乱れ、夢と現実が、異界と地上が、過去と現実が、反転する。反転してまた反転する。「本当に美しいものは何だってこんなに哀しいんだろう、そういう小説というのがまた、どうしてこの地球には少なすぎるんだろう」ーそこを目ざしたとらんぷ譚は、まだ続く。2017/05/27

おか

34
戦中日記 虚無への供物 に続く中井英夫さん三作目。時代を行き来する時の旅人の幻想的な話で 第二回泉鏡花文学賞作。本編を読む前に 巻末の受賞インタビューを読むことをお勧めする。中井さんの本を読んで一番に感じるのは軍国主義から民主主義にある意味一夜で変わって行ったその時代を中井さんは素直に そして真摯に 真剣に見聞きして それを文学という形で表現している。戦中日記のあの数頁にわたる「お母さん」の叫びを思い出した。変な話だが 新装版なので 昔のあの茶色くすすけた様な頁の古い版を読むよりは 明るい印象を受けた。2017/04/30

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