講談社文庫<br> 日の砦

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講談社文庫
日の砦

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  • サイズ 文庫判/ページ数 243p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062759984
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

郊外に家を構え、還暦を過ぎて会社も勤め上げた父親、結婚を控えた恋人のいる息子、母親の誕生日に携帯電話をプレゼントする娘、老朽化した家屋の建て替えを娘と相談する母親…。人生の区切りを迎えてようやく訪れた家族の穏やかな日常にしのびよる、言いしれぬ不安の影を精緻に描き出した連作短篇集。

著者等紹介

黒井千次[クロイセンジ]
1932年東京生まれ。東京大学経済学部卒業。’69年『時間』で芸術選奨新人賞、’84年『群棲』で第20回谷崎潤一郎賞、’94年『カーテンコール』で第46回読売文学賞(小説部門)、2001年『羽根と翼』で第42回毎日芸術賞、’06年『一日夢の柵』で第59回野間文芸賞をそれぞれ受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

メタボン

36
☆☆☆☆ 連作短編集。同居する定年退職後の高太郎、その妻提子、娘の秋子、そして結婚して別に居を構えた息子の夏男とその妻美緒。夫と妻に忍び寄る老いの陰。何気ない日常に潜む不安。家族関係の中の微妙な距離。こういった「空気感」「距離感」を非常にうまく捉えていると思った。読んでいて、何となくざわざわしたものを感じた。私もこれから、この領域に入っていくのかと、いささか暗い気分を味わった。2019/01/09

メイ&まー

22
電子にて。初老の夫婦と同居の娘、結婚して離れて暮らす息子。ありふれた家族を描く小説だけれど、なんだか不穏。そこはかとなくきな臭い。でも、多分、今日も明日もその先も、大きな破綻は訪れないと、、思う。夫のまともすぎて無神経な態度に、妻の気遣いのベールに包まれたおせっかいに、すごーくリアルを感じながら、この家族のくらしにちょっとした綻びを感じ取ろうとする自分がいる。何か起こるんではないか。何かが壊れてしまうんじゃないか。日常にひそむちいさなちいさな異物感をこんな風に拾い上げる作品、とても面白かった。2016/02/17

乱読999+α

6
初、黒井千次氏。先般読んだ奥田氏の「家日和」と同じく家族をテーマとしたものだが、内容は全く異なっていた。定年を迎えた老夫婦と息子、娘。そして近所の老婆。日常の一寸した出来事で感じる不安、不穏、苛立ち等の心の機微を淡々と語っている。特別に何か大きな出来事がある訳でもなく普通の生活の中の悪意までは行かない感じの悪さを精緻な文章で巧く表している。主人公と近い年齢となった今、私も頷き、納得する部分もあったが、少しだけザラついた嫌な気分にもなった。2017/04/07

よう

6
昨年まで芥川賞の選考委員を務められてた黒井千次さんの作品。還暦を迎え、職を離れ、家族と悠々自適な生活が待っていると思いきや、そこに広がる日常には、得体の知れぬ不安が横たわっていた。おそらく黒井さん自身が感じたことが多く描かれているのだろうし、下からせり上がるようなリアリティがあり、さすがと言わせるものがある。僕は還暦にはほど遠い年齢だが、それでも感じる不安感が確かにそこに存在する。娘・秋子のメールの文面などは少し不自然さがあるように感じたが。2013/03/04

じいじ

5
10編からなる短編集。 読了感はひとことで言って「いい小説を読んだなぁ」という実感。 年齢も著者に近いせいか読んでて安定感がある。 ところどころで立ち止まって考えさせてもくれる作品。 ★★★(満点)2012/08/19

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