出版社内容情報
幕府と紀州藩の暗闘を信吾の孤剣が切り裂く
公儀隠密を命じられた信吾は江戸から東海道を経て熊野の秘境へ向かう。安羅井国の財宝を独り占めしようとする紀州藩の隠密、幕府のお庭番が入り乱れるなか、信吾はついに安羅井国への道程(みちのり)を描いた丹生津姫(にぶつひめ)草紙を手に入れる。凄惨な血闘の果てにたどり着いた地で信吾が見たものは? 司馬伝奇長編の傑作!
新選組
拾う神
襲撃
幻影の城
早川夷軒
源聖寺坂
大坂蔵屋敷
薬師堂
脱出
変身
隠し国へ
大和路
国栖ノ国
月の峰
猟師小屋
高力伝次郎
変心
殺陣
岩室
安羅井国
野猿
浦島
頭上の敵
月の出の浜
年譜
司馬 遼太郎[シバ リョウタロウ]
著・文・その他
内容説明
公儀隠密を命じられた信吾は江戸から東海道を経て熊野の秘境へ向かう。安羅井国の財宝を独り占めしようとする紀州藩の隠密、幕府のお庭番が入り乱れるなか、信吾はついに安羅井国への道程を描いた丹生津姫草紙を手に入れる。凄惨な血闘の果てにたどり着いた地で信吾が見たものは?司馬伝奇長編の傑作。
著者等紹介
司馬遼太郎[シバリョウタロウ]
1923年大阪市生まれ。大阪外国語学校蒙古語科卒。産経新聞社勤務中から歴史小説の執筆を始め、’56年「ペルシャの幻術師」で講談倶楽部賞を受賞する。その後、直木賞、菊池寛賞、吉川英治文学賞、読売文学賞、大佛次郎賞などに輝く。’93年文化勲章を受章したが、’96年72歳で他界した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぶち
90
伊賀忍者の末裔の柘植慎吾、公儀隠密、紀州藩隠密、そこに絡む女性など多彩な人物が登場するロード小説、冒険小説、剣豪小説の面白さで惹きつけます。なんといっても柘植慎吾の人柄が魅力的です。裏表がなく明るく快活。剣の腕は凄いのに簡単に敵にだまされる。女性にやさしいけれど浮気者。人間味あふれる主人公です。安羅井国の謎は、司馬遼太郎さんの小説のテーマである"日本とは何か""日本人とは何か"の一端に触れるもので、司馬さんの一つの仮説を示しているようにも思えるもので、単なる武士小説を超えた面白さがありました。2023/07/01
みゆ
74
下巻でも、居合と忍びの技で勇ましく敵方に切り込んでいきますが、簡単に罠に嵌ったり裏切られたりとお間抜けな展開が続きます(笑)でも持ち前のポジティブさで難局を乗り切り、合間には女ともよろしくやってしまう。愛すべきキャラですね(笑)御大・司馬遼太郎の初期のエンタメ忍者小説、楽しめました('∇^d)☆!!2023/09/11
びす男
62
未知の国を訪ねる冒険に巻き込まれた柘植信吾。頭は切れなくても腕はたつ。まごころがある。魅力たっぷりな主人公とともに歩んでいるうちに、自然とページも進んでいた。もうちょっと読んでいたかった、と思わせる読後感も素晴らしい。2016/07/29
レアル
54
上巻を読み終え「幻術、エンタメ、冒険小説?」なんて思いながら下巻を読み始めたけど、ライトな時代小説であっても、その中に奥深さを感じてしまうはひいき目だろうか。熊野の隠し国という関西馴染みの土地勘というところも親近感が持てたのかもしれない。夢から醒めたようなラストも幻想的な雰囲気を醸し出しているし、時にこういった司馬氏の作品も良い。2018/02/28
ポチ
52
司馬さん昭和35年37才の時の作品。こんな伝奇小説(冒険小説風)も書いていたんですね。エンタメ作品として楽しめました。2022/11/13