出版社内容情報
活字離れのあなたに効く、小説の喜び
ばかばかしくも、恰好よい、伊坂幸太郎が届ける「5つの奇跡」
「俺たちは奇跡を起こすんだ」独自の正義感を持ち、いつも周囲を自分のペースに引き込むが、なぜか憎めない男、陣内。彼を中心にして起こる不思議な事件の数々――。何気ない日常に起こった5つの物語が、1つになったとき、予想もしない奇跡が降り注ぐ。ちょっとファニーで、心温まる連作短編の傑作。
バンク
チルドレン
レトリーバー
チルドレンII
イン
伊坂 幸太郎[イサカ コウタロウ]
著・文・その他
内容説明
「俺たちは奇跡を起こすんだ」独自の正義感を持ち、いつも周囲を自分のペースに引き込むが、なぜか憎めない男、陣内。彼を中心にして起こる不思議な事件の数々―。何気ない日常に起こった五つの物語が、一つになったとき、予想もしない奇跡が降り注ぐ。ちょっとファニーで、心温まる連作短編の傑作。
著者等紹介
伊坂幸太郎[イサカコウタロウ]
1971年千葉県生まれ。’95年東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で、第5回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞しデビュー。’04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で第25回吉川英治文学新人賞を、「死神の精度」で第57回日本推理作家協会賞短編部門を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
1563
5つの作品からなる連作短編集。全体を通読するなら、長編小説として読むこともできる。一貫してきわめて軽快で、エンターテインメント性に富んだ小説群だ。その代わり、あまり深刻にリアリティを求めるのは禁物。例えば第1話の「パンク」や第2話の「チルドレン」だが、いくら何でも日本の警察はそこまで甘くはないだろう。また、全編を通して陣内が時として奇矯な行動に走り、そのことが結果的には吉となるのだが、彼が小説の中で果たす役割は、典型的なトリックスターのそれだろう。一方、物語群の中で重心として機能しているのが永瀬である。2017/08/17
ろくせい@やまもとかねよし
1348
ひょんなことから友人となった3人をめぐる5つの物語。人間個人は共通化できない多様なものとの表現を感じた。物語のそれぞれの筋を、常識的な認識を全く裏切る事実として描き、その事実のなかで普遍化できない人間個性を表現する。主人公に「健全な育成とか平和な家庭とか全部嘘だ」と云わせ「適当が一番」を繰り返させる。「適当」は、文語ではもっとも合っている着地点を示す。一方、口語では無理強いしない着地点とも示す。この2つの曖昧な意味をもつ「適当」をうまく用いる感じがした。障害者が吐露する心境とそれを慮る人たちには感動した。2019/07/27
HIRO1970
1193
⭐️⭐️⭐️伊坂さん通算8冊目。今回は短編集かと思いきや、伊坂さんなので毎度ながらやはりそう単純では無くて、全ての登場人物は繋がっていながら、話は過去や現在を行き来しながら非日常や日常に潜む謎や疑問を推理しながら紐解いていくお話でした。他の作品とのリンクも沢山あるのと舞台が仙台なのもあり、何と無くジョジョシリーズの荒木さんのマンガに通ずる感じがいつも有ります。複雑系でミステリアスでスリルやアドベンチャーがあって主人公のキャラが立っている。陣内がジョジョ立ちしていて、オラオラしているように読めました。2016/02/08
またおやぢ
1036
「歴史に残るような特別さはまるでなかったけれど、僕にはこれが、特別な時間なのだ、と分かった。」毎日が特別に思えた子供の頃。そんな子供の頃の直向きさを持ち続けている陣内。彼に影響をうけ、日常の中に奇跡を見出していく登場人物達は、当に陣内“チルドレン”ということか。時空を超えて不連続に展開していたはずのストーリーが、いつの間にか繋がっていき、一つのテーマに集約される。洗練された構成が何とも心にくく、読了後ふわりとした温かさに包まれる一冊。2014/05/09
ゆきねこ
894
久しぶりの伊坂幸太郎。短編集のように見せかけた長編小説。面白かったです。相変わらず、超のつく個性的な登場人物。おしゃべりで理屈にならない屁理屈で周りを煙に巻く魅力的な登場人物に、しっかり者の女の子。ミステリーのような犯罪もあります。他の作家さんと違って、ずっと手元に置いておきたくなるのは、いつか、違う作品で、鴨居や陣内や武藤に会えるかもしれないと感じるからでしょうか。2017/10/01