内容説明
一度たずねてみてください。わたしがあなたに贈る最後のプレゼントを用意しておきました―。そう綴られた亡き妻の手紙だけを頼りに、ビアバー“香菜里屋”にやってきた神崎。マスター・工藤が語った、妻がプレゼントに込めた意味とは…。客から持ちかけられた謎の数々を解明かす連作短編集の第2弾。
著者等紹介
北森鴻[キタモリコウ]
1961年山口県生まれ。駒澤大学文学部歴史学科卒業。1995年『狂乱廿四孝』(東京創元社)で第6回鮎川哲也賞を受賞して作家デビュー。1999年『花の下にて春死なむ』(講談社文庫)で第52回日本推理作家協会賞短編および連作短編集部門受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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佐々陽太朗(K.Tsubota)
179
前作『花の下にて春しなむ』ですっかり本シリーズのファンになってしまった。「願わくは花の下にて春死なん そのきさらぎの望月の頃」と詠んだ西行にちなみ、吉野山までサイクリングしてしまったほど入れ込みようである。本作『桜宵』もまさにこの時季読むにぴったりの題名ではないか。謎を解くカギの「御衣黄」なる桜を一目見たいと切望している。調べたところ黄緑色の花を咲かせる珍しい桜で兵庫県には3カ所しかないとか。西宮市の武庫川団地10号棟南、川添公園、多可郡の金蔵山金蔵寺にそれぞれ一本ずつ。開花は4月中旬。よし!観に行こう。2015/04/10
ままこ
114
シリーズ二作目。『桜宵』タイトルのネーミングも暗闇に浮かぶ舞い散った桜の装丁も雰囲気があって素敵。『旅人の真実』何故男は金色のカクテルを求めているのか…。よく練られていて真実は意外だった。工藤の古くからの友人香月登場。謎に包まれた過去が少し明かされるけどまだまだミステリアス。『約束』特殊な考え方をする女。自分本位の極みで闇が深い。その後の推理に唖然。今回も美味しそうなメニューが色々あったけどオムライスが食べたいな。【春を感じよう 読書会】2019/04/05
射手座の天使あきちゃん
112
ビアバー「香菜里屋」シリーズ第二弾 美味しそうな料理も健在、二重、三重に設定された謎を鮮やかに解き明かすマスター・工藤の推理は、もはや神技の域に!!(笑) ちょっぴり塩っぱいお話や「にがーい」お話もありました。 <(^_^; 2010/07/30
文庫フリーク@灯れ松明の火
108
マスター工藤と香菜里屋の雰囲気に馴染んで2作め。うーむ『花の下にて』より飛躍的に料理もお酒も美味しそうに感じるのはなぜ?名探偵マスター工藤に加え、古くからの友人?《プロフェッショナル・バー香月》バーマン香月圭吾登場。後味良い巻頭「十五周年」が悪意の苦い巻末「約束」へ繋がるとは。苦み有る「犬のお告げ」「旅人の真実」北森鴻さんの味は、今の年齢になって読めたのが幸運かも。大人の味ですね。2011/05/19
★Masako★
94
★★★+ ビアバー「香菜里屋」シリーズ2作目。バーのマスター工藤が、お客が持ち込む謎めいた話を聞き、鋭い洞察力で真相にせまる。今作も工藤の作る料理が魅力的で涎が出そうになるくらい美味しそう! 1作目に比べダークな雰囲気でやるせない気持ちになる話が多かった。工藤の友人でカクテルバーのマスター・香月が発登場、工藤と香月の間には何かありそうで、工藤の過去も含め続編で明らかになっていくのかな♪ [桜本・1作目]2019/03/29