出版社内容情報
中禅寺は眼を細めて、「その偶然――既に蜘蛛の巣の上に乗っちゃあいないか？」と云った。
「僕等は……知らず知らずのうちに誰かの張った――網に掛かっているようだ」。理事長の織作是亮までが殺害された聖（セント）ベルナール学院。事件解決を慫慂（しょうよう）する弁護士・増岡に京極堂は不思議な言葉を漏らす。一方、目潰し魔・平野祐吉を追う刑事・木場は捜査線上に揺曳（ようえい）する親友・川島新造の姿に困惑するばかり。
京極 夏彦［キョウゴク ナツヒコ］
著・文・その他
内容説明
「僕等は…知らず知らずのうちに誰かの張った―網に掛かっているようだ」。理事長の織作是亮までが殺害された聖ベルナール学院。事件解決を慫慂する弁護士・増岡に京極堂は不思議な言葉を漏らす。一方、目潰し魔・平野祐吉を追う刑事・木場は捜査線上に揺曳する親友・川島新造の姿に困惑するばかり。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よむよむ
88
京極堂のところに集まり始める情報。裏に操る人がいないかと早々に見抜くも京極堂はまだ腰をあげない。出来過ぎの状況に逆に座りが悪いとなかなか鋭い木場修。榎木津は面倒だと益田に丸投げでチラと出たのみ。いよいよ次巻では役者がそろうか。ワクワクする♪♪♪2019/07/17
がたやぴん
76
これ警察小説なの？スピンオフ？ってほど木場修の活躍が光る。推理と言うよりデカの筋読みって感じが分かりやすく素晴らしい。冒頭に榎さんの登場に展開が速いかなと思ったが終わって見れば友情出演的なくだりw。なんか見えてるんだろうけどww京極堂もフェミニストと言うキーワードを語らせる為だけに贅沢に使った感じ。黒幕は誰だ？抱える闇とは？って素直に読みたいが、脳内ではタイトルからのミスリード狙いで絡新婦＝女性が罠で女郎蜘蛛の雄が黒幕とか、木場修の活躍も同業者へのカモフラージュと言う疑念が拭えない。叙述臭い、ハズレろ。2016/12/28
セウテス
66
やっと京極堂と榎木津が、ちょっとだけ登場です。この作品は木場修刑事の捜査の章や、名家に起こった殺人事件の章といった具合に、各章で独立したストーリーが展開します。この様な場合、作者さんには申し訳無いのですが、私は一つのストーリーを追いかけます。つまり一巻二巻三巻と木場修の話だけを先に読み、その後別のストーリーを読みます。その為、叙述トリックに成らなかったりするのですが、今作の様に人物が多く入り込んでいると、分かりやすく読めるお得も在ります。どうやら事件の背後に、蜘蛛が隠れているのではと疑惑が浮かび始めます。2016/01/14
えみ
55
偶然か必然か。点と点を結べば線となり、線と線を結んだ先に見えてくる朧なカタチは混迷極める事件の真実、そのものなのか。巧みに織り込んだ芸術的な巣を張り巡らして、獲物をかかるのを今か今かと待つ蜘蛛のようにじりじりとした時間を過ごす一方、どんな甘美な獲物がかかるのか気持ちの高ぶりが抑えきれない！徐々に近づいてくる其々の事件とその関係者。捕食する者かされるものか。見極められた者だけ辿り着ける真相。蜘蛛の巣の上で交差する事件は接触し合うほど絡まり、いつの間にか雁字搦めになっている。狙う蜘蛛が嗤う二巻。黒幕はどこに？2021/08/06
里愛乍
44
本書冒頭より登場、やったー榎木津さん！もうこの人が出てきてくれて喋ってくれたらそれだけで気分よくなってしまいます。出だしからさくさく読めていけました。ここに来ていろんなタイプの女性が動き喋り、酒場の女主人潤といい、メイドのセツちゃんといいまあ兎に角、主要人物である男どもより目立つこと目だつこと。木場さんはやっぱりいいなぁ。葵さんとなんだかお似合いじゃないと思ってしまったのだけど。前巻ではまるで見えなかった繋がりがようやく見え始めてまいりました。次の展開を期待しつつ進みます。2018/05/31
