講談社文庫<br> 憂い顔の童子

電子版価格
¥900
  • 電書あり
  • ポイントキャンペーン

講談社文庫
憂い顔の童子

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 606p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062752565
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

滑稽かつ悲惨な老年の冒険を通じて、死んだ母親と去った友人の「真実」に辿りつくまで。「取り替え子」から続く、感動の長編小説。小説家、「ドン・キホーテ」と森へ帰る。

作家・長江古義人(ちょうこうこぎと)は、息子のアカリとともに四国の森に帰った。長江の文学を研究するアメリカ人女性ローズが同行する。老いた古義人の滑稽かつ悲惨な冒険は、ローズが愛読する『ドン・キホーテ』の物語に重なる。死んだ母親と去った友人の「真実」に辿りつくまで。『取り替え子(チェンジリング)』から続く、長編3部作の第2作。

序章  見よ、麈のなかに私は眠ろう
第一章 『ドン・キホーテ』とともに森へ帰る
第二章 アヨ、アヨ、アヨ!
第三章 夢の通い路
第四章 「白骨軍団」との異様な冒険
第五章 「普通の人」の苦しみ
第六章 アレと痛風
第七章 子供のドン・キホーテ
第八章 「桃太郎」
第九章 残酷とごまかし
第十章 恋の達引
第十一章 西郷さんの犬を世話した「童子」
第十二章 神童寅吉の図像学
第十三章 「老いたるニホンの会」(一)
第十四章 「老いたるニホンの会」(二)
第十五章 失われた子供
第十六章 医師
第十七章 「自分の木」のルール
第十八章 「老いたるニホンの会」(三)
第十九章 喜びを抱け!
第二十章 「銀月の騎士」と闘う
第二十一章 アベリャネーダの偽作
終章  見出された「童子」


大江 健三郎[オオエ ケンザブロウ]
著・文・その他

リービ 英雄[リ?ビ ヒデオ]
解説

内容説明

作家・長江古義人は、息子のアカリとともに四国の森に帰った。長江の文学を研究するアメリカ人女性ローズが同行する。老いた古義人の滑稽かつ悲惨な冒険は、ローズが愛読する『ドン・キホーテ』の物語に重なる。死んだ母親と去った友人の「真実」に辿りつくまで。『取り替え子』から続く、長編三部作の第二作。

著者等紹介

大江健三郎[オオエケンザブロウ]
1935年愛媛県生まれ。東京大学文学部仏文学科卒業。大学在学中の’57年「奇妙な仕事」で東大五月祭賞を受賞する。以後、’58年「飼育」で芥川賞、’64年『個人的な体験』で新潮社文学賞、’67年『万延元年のフットボール』で谷崎潤一郎賞、’73年『洪水はわが魂に及び』で野間文芸賞、’83年『「雨の木」を聴く女たち』で読売文学賞、『新しい人よ眼ざめよ』で大佛次郎賞、’84年「河馬に噛まれる」で川端康成文学賞、’90年『人生の親戚』で伊藤整文学賞をそれぞれ受賞、’94年には日本人として二人目のノーベル文学賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

かみぶくろ

59
3.6/5.0 文章もストーリーも読み辛くてしょうがないのに何故か読んでしまう中期以降の大江健三郎。相変わらず生き辛くてしょうがなそうな作者の分身的主人公にキュンとする。三部作の二部だが、第一部の「取り替え子」で感じたようなカタルシスはなかったかな。2023/01/13

ソングライン

21
嘗て少年期を共に過ごし、アメリカ人青年将校を右翼団体に売った過去を持つ、映画監督の義兄吾良が自殺し、90才の母が亡くなった後、主人公の作家古義人は生まれ故郷の四国の山村に帰り生活を始めます。遠い昔から村の危機を救ってきた神話的存在童子の小説を書くため、村に残る歴史遺物を訪ねる作家に対する故郷の人々、マスコミの冷たい視線、そして作家の知名度を利用しようとするホテル経営者。文体は平易に分かりやすくなるも、作者の現実と錯覚してしまう生臭さに、少し戸惑う読書です。3部作の最後に向かいます。2020/11/29

ハチアカデミー

18
大江健三郎は、もはや生そのものが作品である。本書は、かつて見た/幻視した光景、それを何とか再現せんとする作者・読者・研究者のズレ、その全てを内包させた曼荼羅のような作品。過去はけして再現できない。それでも脳内のヴィジョンは揺らぎながらも残り続ける。過去を構造的に再現しても何も得るものはないのに再現を求める人間の性が描かれる。本書はけして傑作ではないが、大江という大河ドラマに欠かせない一冊。そして作家もまた、読者とともに己の人生をリリーディングし、新たな作品を生む。なんとも因果な作家である。2013/08/21

モリータ

7
2022/8/4、前期授業の終わった日に阪神梅田の古書市で拾う。単行本2002年刊、本文庫2005年刊。解説はリービ英雄。

井蛙

7
『さようなら、私の本よ!』の後にこっちを読むっていう杜撰すぎる読書なんだけど、どこにも売ってなかったんだから仕方ないよね(大江のいくつかの小説がほとんど稀覯本みたいになってるのどうにかして)。今作は『ドン・キホーテ』を読んでる古義人がいつの間にかドン・キホーテ的出来事に巻き込まれてゆくという大江にしてはけっこう露骨な筋書で、ドン・キホーテ自身が騎士道物語を読んで騎士道的出来事に巻き込まれていったのだとしたら、この小説には幾重にも読むという行為が重層化されていることになるだろう。違う点は最後ドン・キホーテ→2019/09/17

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/488829
  • ご注意事項