講談社文庫
照柿〈上〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 382p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062752459
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

ホステス殺害事件を追う合田雄一郎は、電車飛び込み事故に遭遇、轢死した女とホームで掴み合っていた男の妻・佐野美保子に一目惚れする。だが美保子は、幼なじみの野田達夫と逢引きを続ける関係だった。葡萄のような女の瞳は、合田を嫉妬に狂わせ、野田を猜疑に悩ませる。『マークスの山』に続く合田刑事第二幕。

著者等紹介

高村薫[タカムラカオル]
1953年、大阪に生まれる。国際基督教大学を卒業。商社勤務を経て、’90年『黄金を抱いて翔べ』で第3回日本推理サスペンス大賞を受賞。’93年『リヴィエラを撃て』で日本推理作家協会賞、『マークスの山』で直木賞を受賞。’98年『レディ・ジョーカー』で毎日出版文化賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

342
『マークスの山』に続く、合田刑事を主人公とした第2弾。とはいうものの、タイトルが如実に示すように、ここまではかなり地味である。プロットの展開もだが、何よりも合田と、その幼馴染の野田の造形が、よく言えば丁寧なのだが、ややもすると執拗に過ぎるようにも感じられかねない。そして、その背後に作家の強度に粘着質な様子までが窺い知れて、幾分辟易もする。それは2人を通して描かれる日常の煩わしさでもあり、閉塞感でもあるだろう。2つの事件は下巻では解決に向かうのだろうが、2人のこの先への展望は開かれていくようには思えない。2018/05/06

s-kozy

103
「マークスの山」に続く合田刑事シリーズの第二弾。前作は警察小説の印象だったが、本作は事件捜査に舞台を借りた合田とある男女との邂逅、再会、それに伴う軋轢を描いた人間ドラマか?時は8月の上旬、ジリジリと暑い。猛暑が目に見えるようだ。そして、ベアリング工場の熱処理炉のヒリヒリとした熱さ。高温は人を狂わせるのか?合田ってこんなに不穏なタイプの刑事だったっけ?どうなっちゃうの?の下巻へ。2015/10/09

タックン

93
合田シリーズ。(マークスの山)で直木賞を受賞した後の高村さんのピークの頃の作品。でも(上)を読んだだけで1つの殺人事件の2つの容疑者の容疑段階ともう1つの事件の発端部の合田・野田・美保子の描写を延々ときめ細かく描写して終わってしまった。淡々と続くので退屈してしまいそうになるがなぜか読んでしまうなあ・・・・?って感じ。(下)では2つの事件がどう動くのか?美保子の魔性が気になる。2016/10/16

夜長月🌙

71
殺人事件を追って賭場に出入りする刑事。しかし、事件よりページを割かれているのは刑事の幼馴染が働く製鉄所の理不尽な描写です。これは警察ミステリーを装った社会派小説なのでしょうか?どう下巻で展開されるのでしょう。先がまったく予想できません。2020/12/28

kei302

67
単行本を文庫化する際、500ページの作品を全面改稿、上下巻にして出版された。 ここまで変わると、別の作品と言うしかない。 1994年に出た単行本を再読したくなる。単行本では、合田の執着、粘っこさ、狂気が溶解炉の熱と相まって読んでいて息苦しくなったのだが、 文庫化された上巻を読んだ時点では、突然の狂気のようなものは感じなかったし、熱さもほどほど。 ただ、合田の暗部があぶり出され、34歳の合田の仕事と思考の癖と過去への思いのどす黒さにたじろぐ。う―む、合田ってこんな人だった?2021/05/04

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