出版社内容情報
石田 衣良[イシダ イラ]
著・文・その他
内容説明
外国人窃盗団に雇われ、通帳から現金をおろす出し子の男が最後に打った手は(「ラストドロー」)。住宅ローンに押し潰されそうな主婦が選んだ最後の仕事とは(「ラストジョブ」)。リアルで凶暴な世界に、ぎりぎりまで追い詰められた者たちが、最後に反撃する一瞬の閃光を描く。明日への予感に震える新境地の連作集。
著者等紹介
石田衣良[イシダイラ]
1960年東京生まれ。成蹊大学経済学部卒業。広告制作会社勤務等を経て、’97年『池袋ウエストゲートパーク』でオール読物推理小説新人賞を受賞しデビュー。’03年『4TEEN フォーティーン』で第129回直木賞を受賞
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
527
石田さん渾身の、日本のある時期(失われた10年とでもいうのか)を切り取った短編集。どの作品もほぼ救いがない。読者は主人公たちと同じように貧困というローラーコースターに乗せられる。かつて貪るように読んだ石田さん、しばらくご無沙汰していたが、また心を揺さぶられる作品に出会えた。2022/06/02
優希
100
様々な「LAST」が苦しかったです。最後とはいえ、そこで終わるのではないのですが、描かれているのはどん底にまで堕ちていく男女。どうにもならない状況で最後に見たものがリアルで、胸がしめつけられました。逃げ場がなくなった生活。ただ、ほんの少し、明日を予感させる閃光が見えるのが救いでした。ダークな世界観が雰囲気を感じさせます。「LAST」は最後であると同時に続くという意味をも持ち合わせていることに気づかされました。2016/03/16
りゅう☆
96
生活に疲れ果てた大人の物語。悪徳金融にハマり家族を売るか死か、このライドはどこへ?デフレの住宅ローンで借金が膨らみ悩む主婦が選んだジョブとは?テレフォンクラブのコール中に知った彼女の犯した罪とは?人生転落で行きついたホームで最期の瞬間まで好きなように生きればいい。盗難通帳から金を下ろすヤバイ仕事のラストはドローとなったのか?読んでて気持ち悪くなる幼児売春の世界にラストシュートは当然の報い。命を懸けたバトルのまさかの展開。人生どん底でも明けない夜はない。命ある限り迎えた朝を前向きにスタートしてほしいと願う。2019/09/09
モルク
78
退路を閉ざされぎりぎりまで追い詰められた人たちの最後の一打を描いたブラック短編集。エロさもグロさもあり!どの話も、そのあとどうなったかが知りたくなる。「ラストジョブ」「ラストシュート」が好き。2019/01/14
ぷっくん
73
この本すごく良かった(>_<)完全に救われない、もうどん底まで落ちていく男女7人の短編集。悪質小切手金融に追われる男、住宅ローンに追われ障害者の性の相手をする主婦、ベトナムで10代未満の子供を買う男、その他にもどうにもならないギリギリの者達が最後に見たものは…。もう石田衣良さんはリアルが上手くて本当好きだな。これはダークだけど心に残る一冊でした^_^2016/01/31