出版社内容情報
「私を――たすけてください」。古本屋京極堂にして陰陽師の中禅寺秋彦が刑事の木場、探偵である榎木津を前にして解き明かす久遠寺家の「血」。呪われた真相は卑劣漢・内藤を恐怖のどん底へと叩き込み、文士・関口の自我を根底から揺るがす。そして京極堂はいう。「この世には不思議なことなど何もないのだよ」
京極 夏彦［キョウゴク ナツヒコ］
著・文・その他
笠井 潔［カサイ キヨシ］
解説
内容説明
「私を―たすけてください」。古本屋京極堂にして陰陽師の中禅寺秋彦が刑事の木場、探偵である榎木津を前にして解き明かす久遠寺家の「血」。呪われた真相は卑劣漢・内藤を恐怖のどん底へと叩き込み、文士・関口の自我を根底から揺るがす。そして京極堂はいう。「この世には不思議なことなど何もないのだよ」。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中
166
二十箇月もの間妊娠し続ける妊婦、異常な程に突き出した腹部、寝たきりの部屋の独特の臭い。夫の失踪に継ぎ蘇る赤子失踪の風聞、憑き物筋。 産婦人科の旧家である久遠寺家には忌まわしい噂が付き纏い家族は皆少しずつ狂っているように見える。京極堂の蘊蓄と共に徐々に明解になる数々の謎が心地よく、明解になった事実は風聞より忌まわしく悲しい。 大筋は覚えていたものの結末は意外な程忘れていて新たな気持ちで楽しめた。以前は分からなかった東京の地名も親しめてより楽しかった。やっぱりやっぱりこのシリーズは本当に面白い！大好きを実感♡2019/07/07
三代目 びあだいまおう
159
あのですね、怖いですよ！我々の脳の仕組みでは、呪いとその効果は実在します‼️『祝い』と『呪い』は表裏一体、京極堂の話を聞くとそう思う！『この世に不思議なことなど何もないのだよ』下巻2/3も残ってるのにもう解決編？京極堂の解説が始まるんだけどその一言一言がリアル！謎の解説に共感している時点で作者の罠に嵌まってます！成る程、成る程と読み進める程怖くなる。京極先生のデビュー作品ですが驚愕！京極ワールド未経験の方、そしてこの本未読の方にお奨め！えぇっ？全員じゃん？そう、未読の全員にお奨めです！‼️🙇怖いけどね。2018/11/06
🐾Yoko Omoto🐾
145
「この世に不思議なことなど何もない」という一文に大きな説得力を感じながら読了｡そして何より人間の脳というものは、何と複雑で繊細で神秘的で偉大なのだろうと神憑り的に開眼させられた気分だ。密室の謎、二十箇月もの間身籠っていた妊婦の真相などそこだけ抜粋すれば「そんな馬鹿な」と首を傾げるやもしれぬ事象があるにはある｡だがそれを物の見事に納得させてしまうのが、随所に散りばめられた伏線とも言える京極堂の語りと作品全体を覆う神妙な空気感だろう｡古くからの伝承や因習に翻弄され続けた旧家の悲劇は何とも悲しい幕切れだった。2014/11/13
ゴンゾウ@新潮部
129
前編は京極堂の講釈に悩まされたが後編の木場刑事の登場から俄然面白くなりました。異界の世界を理解しながらも距離を置いて理論的に謎を解き明かす。きっと京極ワールドの魅力なんだろう。時間を置いてまたチャレンジしたいと思います。2018/03/23
びす男
96
この世に不思議なものはない――。それが口癖の探偵役・京極堂が、憑き物の仕業としか思えない事件を鮮やかに捌く■密室から失踪した夫と、20か月も妊娠し続ける妻。一見、説明不能な状況も、視点を変えて不思議を取り除けば説明がつく■見えてきたのは、思いこみや偶然で怪異を目の当たりにした人々が、後付けでそれを上塗りする構図。恐れは、人が恐怖することで現実化されてゆく、ということか■初めての作家だったが、文章の癖や個性的な人物像に馴染むと、没頭させられた。眺めるうちに全く別のものが浮かんでくる、だまし絵のような一冊。2018/01/17
