内容説明
魔人による心霊攻撃で九鬼鴻三郎は殺人光線の餌食に!だが、間一髪で太古の石棺の霊力が炸裂、絶体絶命の危機を救った。「炎の狼の化身」には、本人も自覚していない力が!?地下監獄から脱出してみれば、モスクワで陰謀渦巻く政変劇が進行中。再び断崖の僧院に囚われた九鬼の運命はさらに大きく転変する。
著者等紹介
笠井潔[カサイキヨシ]
1948年東京都に生まれる。1979年『バイバイ、エンジェル』で第6回角川小説大賞を受賞。日本の推理小説界に新しい潮流を巻き起こす。また評論活動の分野でも活躍。1997年の編著作『本格ミステリの現在』で第51回日本推理作家協会賞(評論その他の部門)を受賞。2003年には第3回本格ミステリ大賞を『オイディプス症候群』(小説部門)、『探偵小説論序説』(評論部門)で同時受賞した
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
くろう
3
殺人光線が飛び交う中、激突する孫と祖父。九鬼本人も自覚していない謎の力。やっとスペシネフにひと泡吹かせられたと思ったら束の間。再び囚われの身となる九鬼。実は九鬼がヒロインなのでは。一人穏やかな非日常を過ごす中、世界は大変なことになっていた。遂に第二の地震も起きてしまって、世界滅亡のカウントダウンが始まってしまうのか。ムラキとの再会と対談で、今後九鬼はどのように世界と関わっていくのか。そしてひとりどんどん力を付けていくキキはコーと再会できるのか。さて、最終巻、張り切っていってみよー!2020/02/10
mnagami
3
さすがに九鬼の危機にはもうなれてきた。おそらくなんらかの形で生き残るんだろと。ラスト巻はほんとエンディングが楽しみ2017/06/10
ほたぴょん
3
ソ連でのKGBを相手にした大立ち回りの終幕から捕縛、そして脱出まで。けっこう頻繁に敵にとっつかまる九鬼ではあるが、これだけ本格的に軟禁されたのは初めてかな。ほぼKGB関係者しか出てこないクローズドな展開の中で、ソ連側の権力闘争も絡んだ脱出への試みが語られる。スペシネフがソ連側の意志の代表者、というわけではなかったんだな。最初の僧院からの脱出戦のくだりは面白かったが、結局、それでは脱出できないという構成がひねくれてるなあ。2012/01/19
akiu
3
ロシアで主人公が閉じ込められてたら、陰謀が張り巡らされてどんでん返しが起きる、という話の流れです。一人称ということもあり、読み手の側も、蚊帳の外でガヤガヤ動いていつの間にか急展開、という感じでポカーンとなってました。最終巻に向けて収拾に走っている感じで、大破壊が起きてもいまひとつ緊張感がないですね…。解説はついにクトゥルフ神話が来ました。こちらもクライマックスです。2010/03/15
プリザエース
2
物語のメインはソ連中枢での主人公の苦戦だ。ヴァンパイヤーの力技より超能力戦の描写が増える。20世紀末は今より遥かに超能力への社会的憧憬があった事を思い出す。終盤は人類が置かれた状況の情報羅列になっていて、長編小説の結末を迎えるための準備を読者に促す運びだ。巻末の解説はクトゥルー神話の創設者ラヴクラフトを同年代のヒトラーと対比していて興味深い。個人の創作を他者が活用するのは近年ではゾンビが人気だがその理由は、映画やゲーム等で気兼ねなく殺せる便利な対象として生き残ったからだろう。2020/01/15