出版社内容情報
重松 清[シゲマツ キヨシ]
著・文・その他
内容説明
死んじゃってもいいかなあ、もう…。38歳・秋。その夜、僕は、5年前に交通事故死した父子の乗る不思議なワゴンに拾われた。そして―自分と同い歳の父親に出逢った。時空を超えてワゴンがめぐる、人生の岐路になった場所への旅。やり直しは、叶えられるのか―?「本の雑誌」年間ベスト1に輝いた傑作。
著者等紹介
重松清[シゲマツキヨシ]
1963年岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒。出版社勤務を経て、執筆活動に入る。1999年『ナイフ』で第14回坪田譲治文学賞、『エイジ』で第12回山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で第124回直木賞受賞。話題作を次々発表するかたわら、ライターとしても、ルポルタージュやインタビューなどを手がける
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
1233
ドラマ化された原作を 読了。過去を巡る旅…自分 にとって大事な時とは一体 どの時だったのだろうか? …過去を変えることは もちろんできないが、もし あの時にこうすれば、その 後の人生はどうなったの だろうか?…と誰もが思う 瞬間は誰にでもある。 重松清が描く「父と子」の 物語。心に痛く、胸に 染みる…香川照之が、 西島秀俊が、読みながら 浮かんでくる…不思議な 哀しい、そして素敵な 父と子の物語だった。2015/04/04
ヴェネツィア
1124
ボーヴォワールの言「人は女に生まれるのではない、女になるのだ」になぞらえれば「男は子どもを持ったからといって父親ではない。父親になるのだ」というのが本書のテーマか。この小説には3組の父と子が登場するが、いずれの父も父であることにおいて葛藤を抱えている。誰もが父親としての役割をうまく果たせないからだ。その意味では血縁関係にはない橋本父子がまだしも互いへの思いやりの発露がストレートだ。逆に父でもあり、子でもある主人公一雄の苦悩は複雑だ。いや、本当はシンプルであるのかもしれない。それを複雑なものにしてしまう⇒2020/02/02
HIRO1970
1035
⭐️⭐️⭐️実家借用本。重松さんはまだ5冊程度しか読んでいませんが、死に纏わる話が多くて前からちょっと苦手意識があります。本作ものっけから濃厚にその手の気配が感じられた為、かなり身構えたのですが、SFファンタジー・タイムトラベルの味付け加工が十分に施されている為、大分マイルドな味わいで素人にも堪能出来ました。まともな登場人物は男ばかりなのと、主人公も中年男性なので中心読者層は30歳以上の男性となります。ターゲットが絞り込まれている為、男性サラリーマン諸氏には色々な気づきを与えてくれる作品だと思います。2015/04/21
kishikan
861
男(親)なら誰も泣けちゃうだろうなぁ、子供と別れるシーンで・・・。せつなくて、読むのさえ苦しくなってしまうような本。読み終わっても、タイトルを目にするだけで、また思い出してしまう内容。やり直しのきかない人生、親子関係、夫婦関係。でも生きるためには、明日に希望がなければ・・・。最後に、人生のやり直しを主人公に与えることでホッとするが、でもやはり人生はやり直せない、と分かっているから、この小説は切なくはかないと感じてしまうんだろうね。心に残る名文(フレーズ)が多いところも、重松の傑作として推したい理由だ2009/03/15
抹茶モナカ
841
「もう死んでも良いかな。」と思った一雄は、幽霊の親子の運転するオデッセイに拾われる。人生の岐路に戻って、やり直しを試みるタイムトラベルのファンタジー。父と子の物語。どれだけ頑張っても、現実は変えられないけれど、やり直そうとする主人公の努力が、胸に染みる。中年になって読むと、身につまされる。2014/12/14