内容説明
縦縞のユニフォームの男。投手・江夏。みんな彼のことを憶えている。現役生活18年。通算成績206勝158敗193セーブ。そしてあの21球。長嶋がいて王がいた。村山がいた…。グラウンドが真剣勝負に満ち、日本中が燃えていた時代を知る者のみならず、全ての野球ファンに捧げる傑作ノンフィクション。
目次
反抗
ごつい奴
早春
九月の三日間
兄貴
黄金バッテリー
個人事業主
大阪ブルース
伝説
六球の攻防
化け物
世紀の落球
記憶
著者等紹介
後藤正治[ゴトウマサハル]
1946年京都市生まれ。京都大学農学部卒業。ノンフィクション作家。『遠いリング』(岩波現代文庫)で第12回講談社ノンフィクション賞、『リターンマッチ』(文春文庫)で第26回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ntahima
54
先日、一時帰国した際、少しでも旅費を削ろうと年甲斐も無くカプセルホテルに三連泊した。その時の靴箱の番号は?「当然28番!」と言いたいが、一日だけ空いていなくて、その日は11番を選択した。客観的に見て江夏豊が史上最高の投手なのかはわからない。但、ONは別格としても、その名前を以て、いや背番号で時代を語れる選手がどれほどいるだろうか。著者の筆は私を幼き日に引き戻してくれる。本書で紹介されている江夏伝説の全てをテレビ、ラジオ、スポーツ紙等を通して同時代的に知り得たことが少し誇らしい。2013猛虎の遺伝子に期待!2013/02/28
うたまる
4
「だれもがだんだん丸くなっていくわけだけど、彼だけは変わらない。江夏は江夏。死ぬまでそうでしょう。そうであってほしい。それ以外の江夏は見たくない」(田淵幸一)……江夏とライバルたちと、その時代を描くスポーツ・ノンフィクション。当初は爺の懐古譚かと思いきや、ベタ甘に陥らないその硬質な筆致に引き込まれた。泣け泣けした文章でないにも拘らず、孤高で不遇なエピソードの数々に度々ウルウルもした。江夏だけに限らないが、今のアイドル化・タレント化した選手たちには無い、ふてぶてしさ、強情さ、えぐさが、不格好なのに格好いい。2015/07/08
聖月
3
〇江夏ストライクという言葉がある。江夏は、序盤は狭くとられるストライクゾーンに、いろんな角度のいろんな球種を投げ込むことによって、そのストライクゾーンを試合後半にはボール何個分も広げてしまう。王ボールという言葉がある。バッターカウントの悪い場面でのストライクかボールかきわどい球も、選球眼のよい王が平然と見送ればボールに違いないという考えである。緊迫した場面での、その江夏と王の真剣勝負。審判の目は?判断は?2002/07/13
TakeROC
2
タイガースは元来、貧打を支える投手力でジャイアンツに対抗していたチームですから、最近のチームはそれに戻っている。この状態で勝つには江夏に匹敵する投手が必要だと思い知らされる本。江夏もそうだけど、村山実、田淵幸一、藤田平、遠井吾郎に思いを寄せる。勝てなくてもワクワクできる個人技を持つ職人的な選手が、殊更タイガースからは減っていることが実感できる。ここに名前を挙げた選手を含めてタイガースでプロキャリアをスタートした名人が当時は多いけど、今のスタメンでタイガースが指名した選手は鳥谷だけだからな。編成仕事しろ!2012/06/16
シロー
2
堀内氏の意外な良い人エピソードに驚きました。2007/04/25