出版社内容情報
村上 春樹[ムラカミ ハルキ]
著・文・その他
内容説明
『羊をめぐる冒険』から四年、激しく雪の降りしきる札幌の街から「僕」の新しい冒険が始まる。奇妙で複雑なダンス・ステップを踏みながら「僕」はその暗く危険な運命の迷路をすり抜けていく。七〇年代の魂の遍歴を辿った著者が八〇年代を舞台に、新たな価値を求めて闇と光の交錯を鮮やかに描きあげた話題作。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
420
間に2つの長編小説その他を挟むのだが、物語としては『羊をめぐる冒険』の続編という風に始まっている。この時期、村上春樹自身がおそらくは置かれていたであろう一種の行き詰まり感を反映してか、小説の冒頭からしばらくは重い。ユキと北海道を出るあたりから、ようやくスピード感が生まれてくるが。それはある種の諦めを受け入れるからでもあるのだろう。ダンスのステップのように、こんな風にしか生きようがない34歳の「僕」。下巻では、新たなステップを踏み出すのだろうか。2012/06/10
zero1
305
すべては繋がっている?多くを失った「僕」は踊ることで再生する?「羊」から4年。34歳になった「僕」。雪の降る札幌で新たな物語が始まった。高度資本主義社会で【文化的雪かき】を生業としていた「僕」は新いるかホテルに宿泊し羊男と再会。上巻で名前が出ない【ホテルの精】に不登校で親からネグレクトされているユキ。耳が素敵なメイは五反田君の映画に出ていた。かっこう。そして事件と刑事の登場。34と13歳の会話は「騎士団長殺し」に通じる。再読だが佐々木マキの表紙が懐かしい。下巻では銀世界からハワイへと舞台が飛ぶ。やれやれ。2019/10/22
遥かなる想い
258
村上春樹には独特の世界に読者を引き込んでいく魔力のようなものが確かにある。ただし、しばらくすると、話を忘れてしまう悲しさもある。2010/06/02
ミカママ
197
なんどか目の再読。村上春樹さんの小説に出てくる男性主人公って、なんでこんなにかっこいいんだろう。あたしの永遠の憧れです。シャイでお料理上手で、セリフがいちいち哲学で。そしてこの羊男のセリフ「踊るんだ。踊り続けるんだ。」なんかこういう一言一言が、いちいち胸に沁みちゃうお年頃です。そうそう、人生考えてばっかじゃなくて、とにかく踊り続けることが大切。そうしないと、繋がっていられなくなっちゃう。さて続編行きましょう。2014/08/22
抹茶モナカ
187
村上春樹さんがこの作品を執筆した辺りの年齢になり、再読しよう、再読しよう、と思っていたけど、なかなか手をつけられなかったところ、不意に村上春樹さん熱が沸騰して、読んだ。心が固くこわばる感じ、羊男が主人公に語る言葉、それらには初読の際も魅了されたけど、年齢を重ねて読むと、骨に響いた。軽やかな展開と文体も良い。2017/09/14