内容説明
炭坑事故で閉じこめられた三十数人の朝鮮人坑夫たちを、自らの命と引き替えに救った伝説の男、伊吹重蔵。その子、信介は侠気と正義感を受け継いで、美しい義母タエとともに厳しい時代のうねりを乗り越えていく。幼年期から青年期のひたむきな青春遍歴を、雄大なスケールで描く大河小説の金字塔、第一部。
著者等紹介
五木寛之[イツキヒロユキ]
1932年福岡県生まれ。朝鮮半島より引き揚げたのち、早稲田大学露文科に学ぶ。PR誌偏集者、作詞家、ルポライターなどを経て、’66年『さらばモスクワ偶連隊』で小説現代新人賞、’67年『蒼ざめた馬を見よ』で直木賞、’76年『青春の門 筑豊篇』ほかで吉川英治文学賞を受賞。’81年より一時休筆して京都の龍谷大学に学んだが、のち文壇に復帰。’02年にはそれまでの執筆活動に対して菊池寛賞を、’04年には仏教伝道文化賞を受賞する。また小説のほか、音楽、美術、歴史、仏教など多岐にわたる文明批評的活動が注目されている
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感想・レビュー
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Tsuyoshi
64
五木さんの著書は新書で何冊か読んでたものの小説は初めて。本作では主人公・伸介の出生から英雄視されていた父と継母である母、幼馴染みの織江とのエピソード、性への目覚め初めである中学時代までがが描かれていた。とにかく読みやすくて先が気になるし、九州の人間なので筑豊弁も馴染み深くて心地いい。下巻へ続きます。2018/06/15
gtn
9
三十六年振りの再読。当時中学生だったが、ドキドキしながら読み進めたことを思い出した。今読んでも、結構ドキドキする。2018/06/15
リュウジ
7
文章は読みやすい。というか、レトリックがほとんどなく、描写はストレート。話も実直というか、骨太というか。信介という一人の男の成長と一緒に、ときを過ごしている。それが心地いいし、面白い。全部で6篇。 信介はどんな生き方をするのだろうか。2013/06/05
AR読書記録
4
まだ壮大な物語のほんの端緒なので,なんとも申せませんが... まあ,とても直球でわかりやすい大河小説だろうと思えます.侠気とか男気とかそういう熱(苦し)いものの世界.ドラマや映画に向きそう.少年時代は性の目覚めにさかれる部分が多く,そこは女なんでちょっと実感・共感は無理... この巻の終わり1/3くらいはまあどうでもいいんだがという感じですが,男の人にはそうでもないんですかねー.2011/04/09
潟山男
3
荒々しいエネルギーを感じさせる戦後の混乱期。下巻でどのような成長を遂げるのか、期待。2015/07/19