内容説明
霧深い夜、アムステルダムで立ち寄ったカフェで飲んだアイリッシュ・コーヒーの美味さに驚いた隆二は、店主と再会を約す。そして十年後、半信半疑で出かけた青山の街で見たものは!?東京、大阪、沖縄、京都…一つの街に一つの謎、旅先で出会った不思議な出来事を描く、旅情あふれる短編集。全十二編収録。
著者等紹介
阿刀田高[アトウダタカシ]
1935年東京都生まれ。1979年『来訪者』で日本推理作家協会賞、同年短編集『ナポレオン狂』で直木賞を受賞。デビュー当初より短編、ブラック・ユーモア、ショートショートの名手として多数の作品を発表。長編でも『新トロイア物語』(吉川英治文学賞受賞)を著すなど幅広い分野で活躍している。1993年より1997年まで、日本推理作家協会理事長を務める。現在は日本ペンクラブ専務理事
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
79
この短篇集は今はなくなってしまった「旅」という月刊誌に連載されたものを集めたもので12の作品が収められています。ですので日本の様々な場所が出てきて、むかしの阿刀田さんのブラック的な要素は少なく年齢とともに丸くなってきているということぉ感じさせる作品です。「青い箱」などの逆転の発想が出てきたりして楽しめました。2015/07/17
ehirano1
76
相変わらず「上手い」の一言に尽きます。コーヒーと奇談で、ワーグナーのフライングダッチマンや悪魔等、よくもまあここまで書けると感嘆します。「ナンバーーワンコーヒーの名前が付いた街が東京にある」の種明かしには、何で気付かかなかったのだろうと思いましたが、オランダの霧にうまい具合に隠されてしまったのかも?2019/03/10
おいしゃん
64
初読み作家月間、3人目。さすが短編の名手だけあり、どの短編も無理がなく、洗練されている。日本各地が舞台になっているので、全国出かけた気分にしてくれる。2016/12/05
ehirano1
61
『(コーヒーの)味覚ではなく、気分が思い出す』、とう云うのには恐れ入りました。コーヒー飲むのは雰囲気も影響する、というのは凄くわかります。2020/05/04
ちさと
43
日常を描いた素朴な作品が多かった。「父に会う」の主人公が「まるで小説の中の話のようだ」と発言するシーンが微笑ましく、印象的。表題作「コーヒー党奇談」海外で出会ったコーヒー店主は「東京の、おいしいコーヒーの名前をつけた街で10年後に会おう」という。果たしてどこの事なのか、本当に会えるのか。お酒はほとんど飲めないんですけど、アイリッシュコーヒーは好き。旅先で出会った「あの味」が再現できないのも共感するなぁ。2019/04/04