出版社内容情報
司馬 遼太郎[シバ リョウタロウ]
著・文・その他
内容説明
応仁ノ乱で荒れる京都、室町幕府の官吏、伊勢氏一門の末席に、伊勢新九郎、後の北条早雲がいた。家伝の鞍作りに明け暮れる、毒にも薬にもならぬ人間で生涯をことなく送るのが望み、と考えていた。だが、妹分の美しい娘、千萱の出現が、彼の今までの生き方を激変させる契機となり覇者への道を歩み出した。
著者等紹介
司馬遼太郎[シバリョウタロウ]
1923年大阪市生まれ。大阪外国語学校蒙古語科卒。産経新聞社勤務中から歴史小説の執筆を始め、’56年「ペルシャの幻術師」で講談倶楽部賞を受賞する。その後、直木賞、菊池寛賞、吉川英治文学賞、読売文学賞、大仏次郎賞などに輝く。’93年文化勲章を受章したが、’96年72歳で他界した
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
125
舞台は京都。荒木兵庫ら百姓の二人が京都へ連れた女の兄が、のちの早雲。早雲の伊勢家は将軍家の申次役で、早雲は将軍の弟の義視の申次役だったが、さして力はもたず。応仁の乱の東軍の大将に担がれたために、逃げ出す義視。その後の早雲は浪人のように京で暮らしていたが、妹が今川家が生んだ今川家の跡継ぎ6歳の時に後見人になるよう頼まれたために、荒木兵庫ら3人の百姓をともに駿河へ。上巻の印象が強烈なのは、骨皮道賢。応仁の乱は大名が起こしたとはいえ、民は飢えていても将軍、大名、僧やらは風流だとくれば世間は荒んでいたのだろう。2016/03/08
遥かなる想い
116
北条早雲の話。あまり他の小説家がとりあげていない人物をうまく司馬視点で現代に甦らせてくれている。司馬が描くと、戦国の武将たちは何と魅力的ななのだろう。2010/07/31
むーちゃん
106
いよいよ駿河へ。やっと動き出す。詳しい感想は 中、下巻にて。2020/09/28
レアル
77
北条早雲物語。この時代は最初に苦手意識があって、まず応仁の乱というモノがあまり分かっていない。そして物語の途中途中で入る「うた」。ここで私の無教養が表れるかのように入り込んでいた物語から一気に引き戻される。そのせいもありなかなか進まなかったこの小説。しかし始まりの舞台となる宇治田原は祖父の実家。かつて祖父から嫌程聞かされた(笑)この物語が今役立っている。そんな早雲の若き時代のお話。物語としては面白いが早雲物語としては少し地味なような気もするが、きっとこの地味さが後の物語を盛り上げてくれるのだろう!中巻へ。2016/09/06
優希
76
応仁の乱の時代背景がよくわかります。北条早雲の若き頃が語られていました。生涯を家伝の道で歩もうとしていたのが意外です。妹・千萱を奉公に出したことで、早雲の生き方に変化のきっかけが訪れたと言えますね。覇者への道へと歩み始める人生の始まりです。2018/11/25