内容説明
フランスを揺るがしかねぬ『日記』の発見に事態は急転。幼いルイ十四世をはさむ虚々実々の争奪戦の渦中、あわれマリー・ドゥ・カヴォワは落命した。使命を達して、むなしさと哀しみにくれるダルタニャンを見つめるシラノ。いま灼熱の季節は幕を閉じ、二人の快男児は各々の道を往く。熱血長篇堂々の完結。
著者等紹介
佐藤賢一［サトウケンイチ］
１９６８年、山形県鶴岡市生まれ。東北大学大学院でヨーロッパ中世史を学ぶ。１９９３年『ジャガーになった男』で文壇デビュー。『王妃の離婚』（集英社）は第１２１回直木賞を受賞した
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まこみん
65
色々な謎の結末が知りたくてページが進み､下巻は１日で読了｡故銃士隊長の日記､マリーの放蕩弟の行方､マザランと王妃アンヌとの謎めいた結婚式､怪文書､少年王ルイを本人の知らぬ間の誘拐､そしてラスト二人の大乱闘｡ガスコンとは「熱血漢でもあると同時に狡猾､事にあたって発揮する極めて非情冷酷な魂は熱すぎる血の温度の裏返し｡」全3巻通して大スペクタクル映画を味わった気分｡ゴールデンウィークで一気に読めて良かった｡2019/04/30
k5
61
最後まで満足度は高かったんですが、これは中巻が面白すぎたかも。ちょっと回収感が漂ってしまった下巻ですが、ただこの作品はいい作品です。2021/06/06
イトノコ
20
再読。フランス王室の秘密の鍵となるカヴォワの日記と鉄仮面の男。それらを巡り、マザラン枢機卿とオルレアン公が相争う。その争いに踏み込んだダルタニャンとシラノは、愛する女を守り切れるのか⁉︎／ラスト、2人の別れに痺れる…ダルタニャンは夢、シラノは愛のために異なる道を選んだ。「お前こそがガスコンだ」と互いを称えて…。生まれがガスコーニュ、パリ、異邦、何処であっても熱き血潮を持つのがガスコン。その熱さゆえに己のためでは飽き足らず誰かのために生きるその精神こそがガスコンなのだ！さあ、今こそその心を呼び覚ませ！2020/05/18
HoneyBear
9
凄く面白い。3巻があっという間。ルイ14世出生の秘密、鉄仮面伝説など藤本ひとみ「ブルボンの封印」とも関連する題材をもとに、ダルタニャン、シラノ・ドベルジュラックのヒーロー二人を登場させて描く活劇。ただ、最後の展開が今一つ掴みにくかった
noémi
7
ダルタニャンの行動は全て「エスプリの赴くままに」とのことでしたが、エスプリってな～に？インスピレーションのことですか？従来からあったルイ１４世双子説を持ち出しながらも、そうはならないのが、佐藤流。さてはマゼランとの不義密通？とおもいきや、またもや佐藤先生のお得意なヤツでした・・・苦笑。きっと筆者は好きなんだなぁ～、こういう展開が。ただし、原作では女には決して溺れないダルタニャンがこんなふうに号泣するかなぁ。佐藤先生、きっとこういう男が好きなんだね。最後に、ベルジュラックの真実を披露するあたり、ニクイ演出。2012/04/30
