中国の歴史 〈08〉 疾駆する草原の征服者 杉山正明

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  • サイズ B6判/ページ数 406p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062740586
  • NDC分類 222.01
  • Cコード C0322

出版社内容情報

通説をくつがえす新「中国史」
キタイからモンゴルへ 中華を凌ぐ帝国の興亡
耶律阿保機、チンギス・カン、クビライ 遊牧民がユーラシア世界を席巻した

唐王朝を揺るがした「安史の乱」は、600年におよぶ大変動の序奏だった。耶律阿保機のキタイ、李存勗ひきいる沙陀、李元昊の西夏、完顔阿骨打の金。多極化と流動化のはてに、歴史の統合者たる大モンゴル国が浮上する。現代もなお生きる「巨大帝国」誕生のドラマ。

杉山 正明[スギヤマ マサアキ]
著・文・その他

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

崩紫サロメ

21
タブガチュ(唐)→キタイ(遼)→モンゴルという系譜をキタイを中心として描く。しかし、キタイに、まつわる研究の困難さが指摘される。それには正史である『遼史』がモンゴル帝国時代に編纂されたものであるが、その史官のほとんどは漢文化の素養を持ち、編纂方針・史料とも漢文主義に基づいている。またモンゴル帝国にとってキタイは「書きたくない存在」であったこともうかがわれる。結局のところ、史料の大きな制約もあり、著者が利用しているのは『遼史』『旧五代史』『新五代史』『契丹国志』などの漢文史料である。しかし読み解きが面白い。2023/01/07

崩紫サロメ

17
著者は言わずと知れたモンゴル史の方。だが、この本は意外と(?)モンゴルの紙面は少なめで、大半がキタイ(契丹)に割かれている。キタイ研究のつらさとおもしろさ(p.222)にあるように、わかることは少ない。キタイの次に描かれる西夏に関しても同じことが言われている。しかし、やはり落とし所はモンゴル帝国で、草原と中華が生態系を超え、人種を越え、「多元複合の超域帝国」に統合されていく道程として、これらが描かれていることがわかる。2020/05/19

MUNEKAZ

12
杉山先生なんでまたモンゴルかなと思いきや、遼(契丹)である。金や元の先駆けとして遼を高く評価し、耶律阿保機と沙汰族の戦いを濃密に描く。やっと遼の通史が終わったと思ったら、次は遼の遺跡を訪ねるルポが始まる。すごい。金はあっという間。元も駆け足。今は岩波新書『中国の歴史』で同じ括りのもっとバランスの取れた通史があるので、この時代・地域に興味がある人はまずそちらを読もう。大物研究者のクセ強文章を楽しみたい人だけこちらを読もう。漢語史料に頼ることへの警鐘は良いが、司馬光らに対してはもはや筆誅。すごい。2023/10/12

ピオリーヌ

12
文天祥に対する杉山正明の書きっぷりが凄い。耶律楚材を彷彿とさせる。「戦意だけはあるものの、度量と将才と人望に欠けていた」「当の本人は余計に依怙地となり、みずからの名声を異様なほどに意識して、あくまで斬死を希望し、見事に後世の称賛をうけることに成功した。」巻末の主要人物略伝が興味深い。筆者は朱全忠を文字通りのたたき上げ、明の朱元璋にも匹敵し、個人の才腕としてはしなやかな経済感覚といい、駆け引き自在の政治力といい、先人での的確な軍才といい、朱全忠の方が優っているとしている。2021/04/14

のんたん 

5
かなりボリュームのある本でしたが、キタイ(というか耶律阿保機)中心で書かれているため、半分が終わろうとしているのにまだ阿保機の話が終わらないという、キタイ好きにはたまらない本でした。逆に司馬光はお嫌いらしく、『資治通鑑』は虚構ばっかりと散々な評価ですが、杉山氏と司馬光を足して割ってちょうどよい具合ではないかと苦笑いするだけです。2017/11/18

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