出版社内容情報
自衛隊を舞台に描く青春グラフィティ!
名誉も誇りもない、そして戦闘を前提としていない、世界一奇妙な軍隊・自衛隊。世間が高度成長で浮かれ、就職の心配など無用の時代に、志願して自衛官になった若者たちがいた。軍人としての立場を全うし、男子の本懐を遂げようと生きる彼らを活写した、著者自らの体験を綴る涙と笑いの青春グラフィティ!
若鷲の歌
小村二等兵の憂鬱
バトル・ライン
門前金融
入営
シンデレラ・リバティー
脱柵者
越年歩哨
歩兵の本領
浅田 次郎[アサダ ジロウ]
著・文・その他
内容説明
名誉も誇りもない、そして戦闘を前提としていない、世界一奇妙な軍隊・自衛隊。世間が高度成長で浮かれ、就職の心配など無用の時代に、志願して自衛官になった若者たちがいた。軍人としての立場を全うし、男子の本懐を遂げようと生きる彼らを活写した、著者自らの体験を綴る涙と笑いの青春グラフィティ。
著者等紹介
浅田次郎[アサダジロウ]
1951年東京都生まれ。1995年『地下鉄に乗って』で吉川英治文学新人賞、1997年『鉄道員』で直木賞、2000年『壬生義士伝』で柴田錬三郎賞をそれぞれ受賞する
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥
107
自衛隊を舞台にした連作短編集。時は高度経済成長期、日米安保や学生運動で今よりももっと自衛隊の肩身が狭い頃。軍隊であって、軍隊ではない。環境も待遇も劣悪で、名誉も誇りも無いそんな時代に自衛隊に入隊した若者たちの物語。「星の数より、飯の数」古参が絶対的な権力を持ち、理不尽な私刑を喰らうことは日常茶飯事だ。今の時代にはちょっと考えられないほどの前時代的な雰囲気。だがそんな中に、最後はホロリとさせるエピソード。浅田さん自身も若い頃はこんな経験をしたのだろうか。★★★+2016/06/10
HIRO1970
88
⭐️⭐️⭐️浅田さんの若き日の所属先である陸自へのオマージュ作品。後書きに描かれているように現在は大分様相は変わっていますが、学生時代の入学から卒業期間の心の移り変わりの様に入隊から脱隊までを数々の短編集で陸自内での当時の独特の雰囲気を余すことなく伝えている作品集です。冷戦後の現在はPKOや頻繁に起こる隣国との軋轢で当時と大分行動範囲や求められる役割が変わっています。隔世の感は否めませんが、未だに敵の大砲に小銃で対するような議論が起こるので今の方がより危険度が高い状況なのは門外漢な私でも解ってしまいます。2014/10/13
Atsushi
81
一昔前の自衛隊を舞台にした短編集。今はどうか知らないが「軍人は星の数で部下に命令を下し、飯の数で目下を思いやる」らしい。義理人情には篤いようだ。最近ではJ婚という言葉があるように自衛隊員は婚活でも女性に人気だとか。世の中変われば変わるもんだ。ちょっとうらやましい。2017/12/07
forest rise field
76
昭和45年頃の陸上自衛隊に纏わる短編。作者が経験者だけに詳しい。高度経済成長期、職に困らぬご時世に訳あって自衛隊に入隊した若者達。当時の自衛隊は旧陸軍経験者と戦後生まれが混在する時代で興味深い。星の数(階級)と飯(メンコ)の数=経験年数が幅を利かす自衛隊。自分も若けりゃ人生遠回りかもしれないが、自衛隊経験して根性叩き直すのも良かったかもな~。2022/10/24
chimako
70
ハードカバーで読了。自衛隊は縁のない場所だと思っていた。隣の家のお兄さんが自衛隊に入りレンジャー部隊での日々を弟たちに面白おかしく聞かせてくれたのは70年代初頭だったか。中学の同級生が二人自衛隊に入隊した。災害場所で黙々とスコップをふるう姿に頭が下がる。テントや生活場所を設営する素速さにも驚く。今日も日本中の駐屯地で銃を分解し組み立てる隊員たちが居るのだろう。その銃が人に向けるれる事のない世の中を望みます。どうか自衛隊の隊員たちが銃を人に向けなくても済みますように。2014/11/29