講談社文庫
砦なき者

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  • サイズ 文庫判/ページ数 362p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062739641
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

報道番組『ナイン・トゥ・テン』に売春の元締めとして登場した女子高生が全裸で首を吊った。恋人を番組に殺されたと訴える青年八尋樹一郎の姿は、ライバル局の視聴率を跳ね上げた。メディアが生んだ一人のカリスマ。その邪悪な正体に気づいたのは、砦を追われたテレビマン達だった。『破線のマリス』を超える衝撃。

著者等紹介

野沢尚[ノザワヒサシ]
1960年、愛知県名古屋市生まれ。日本大学芸術学部映画学科卒業。1983年第9回城戸賞受賞。1985年テレビドラマ「殺して、あなた」で脚本家デビュー。以後テレビ、映画で活躍。1997年『破線のマリス』で第43回江戸川乱歩賞受賞。同年『恋愛時代』で第4回島清恋愛文学賞受賞。1999年テレビドラマ「結婚前夜」「眠れる森」で第17回向田邦子賞受賞。2001年『深紅』(講談社)で第22回吉川英治文学新人賞受賞。テレビ作品「親愛なる者へ」「青い鳥」「氷の世界」「水曜日の情事」などのほか「川、そして海へ」での倉本聡、三谷幸喜氏との共同脚本も話題に
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

さっこ

60
「破線のマリス」から数か月後。ニュース番組の女子高生売春特集により一人の女子高生が自殺した。情報の切り取り方により被害者にも加害者にも仕立て上げてしまうメディアの狂気。女子高生の恋人を名乗る若者が大衆によりカリスマ化して暴走を始める。情報の少なかった時代も今のような情報過多の時代でも、切り取られた断面だけしか見ることができないことばかりなのだろう。情報なんて簡単に操作できるのだと思うととても怖い。

ワレモコウ

60
読本。「破線のマリス」の続編。「事件検証」で売春の元締めと報道された女子高生が自殺する。その恋人と名乗る八尋樹一郎は、報道のあり方を訴え、世間の賛同を得る。やがてカリスマとなった八尋だが、その周りには不審死を遂げた者が多数いた。内容をあまり覚えてなくて、こんなに怖い話だっけ?集団心理の恐ろしさ…途中で読むのやめようかと思ったが、結局は一気読み。報道が生んだ怪物、ラストはスッキリしない終わり方。2022/01/15

サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥

56
「破線のマリス」の続編とも言える作品。テレビ業界に起こるサスペンス。若者達のカリスマとなった男が大衆を導く姿はある意味恐ろしい。今ではテレビよりもネットの世界の方がこういうことがありえるのでは?

ジンベエ親分

53
「破線のマリス」の続編的作品。前作にも登場したディレクターの赤松が中心人物。第一章と第二章には直接的な話の繋がりはないが、その報道を見ている1人の男が第三章以降で赤松らと対決する「敵」として登場する。が、このあたりは何だかどうにもリアリティを感じない。どんなにカリスマがあってもここまではなぁ…。テレビというメディアに対する危機感、不信感はテレビ業界にいた著者ならではの視点だけど、このあたりは著者が「暴走」してる気がする(笑) 結末もちょっと欲求不満気味。やはりヤツは地に引きずりおろしたかった(笑)2019/01/22

アッシュ姉

51
マスコミやメディアの影響力の怖さ、受け手側の意識の在り方など、深く考えさせられた作品。ディレクターの赤松とキャスターの長坂の二人がどうにも好きになれず、いまいち入り込めなかったが、終盤どんな結末になってもおかしくない展開に、ハラハラして頁を捲るのももどかしいほどだった。マスコミを憎むがゆえに利用し、一躍メディアの寵児となった八尋。強烈なカリスマ的支配で、若者の教祖のような存在となっていく。現実味に欠ける部分もあったが、野沢氏が訴えたかったものを伝えるためには、リアリティの追及は二の次だったのかもしれない。2014/09/18

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