出版社内容情報
一日早い転入生。ここは「三月の国」なのに
3月以外の転入生は破滅をもたらすといわれる全寮制の学園。2月最後の日に来た理瀬の心は揺らめく。閉ざされたコンサート会場や湿原から失踪した生徒たち。生徒を集め交霊会を開く校長。図書館から消えたいわくつきの本。理瀬が迷いこんだ「三月の国」の秘密とは?この世の「不思議」でいっぱいの物語。
恩田 陸[オンダ リク]
著・文・その他
笠井 潔[カサイ キヨシ]
解説
内容説明
三月以外の転入生は破滅をもたらすといわれる全寮制の学園。二月最後の日に来た理瀬の心は揺らめく。閉ざされたコンサート会場や湿原から失踪した生徒たち。生徒を集め交霊会を開く校長。図書館から消えたいわくつきの本。理瀬が迷いこんだ「三月の国」の秘密とは?この世の「不思議」でいっぱいの物語。
著者等紹介
恩田陸[オンダリク]
1964年宮城県生まれ。早稲田大学教育学部卒。1991年の第3回日本ファンタジーノベル大賞の最終候補作となった『六番目の小夜子』でデビュー
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さてさて
406
ここは日本なのだろうかと思えるような不思議な学園世界が描かれるこの作品。その中で留学生のヨハンの存在が逆にここが日本であることを暗示させてもいきます。そんなヨハンが放つ表現。『日本語って視覚的にゴージャスな感じがしていいですよね。漢字は贅沢な絵みたいだし、ひらがなは無邪気で色っぽい』という表現はとても新鮮です。物語は後半にかけて一気に展開する中で、理瀬にまさかのキャラ変が発生!!そして、読者を振り落とそうとするかのように急に疾走を始める物語。これぞ恩田さんの真骨頂とも言うべき素晴らしい作品だと思いました。2021/12/19
SJW
259
消化不良に終わった「三月は深き紅の淵を」の続編という事で読むのが少し憂鬱だった。しかし「三月は...」連作短編だったがこちらはミステリーの学園ファンタジー長編で、恩田さん得意の学園もの、演芸、音楽などが散りばめられ、修道院跡に作られた架空の中高一貫校で殺人事件が起こり、湿原の中に閉じ込められており抜け出せないというミステリーにはぴったりの舞台。読んでいるとデジャブ??と思ったが、「三月は...」の最期の章が「麦の海に...」の予告編になっていた。これは恩田さんが試した○○的円環という手法らしいが複雑(続)2018/04/10
パトラッシュ
234
リアルとファンタジーの狭間に閉じ込められた世界を構築させては、恩田陸の右に出る作家は少ない。ダークな風土に孤立する謎めいた学園が舞台のドラマは、そんな著者の手腕が最高に発揮されている。次々と生徒が死んだり失踪しても騒ぎにならず、外の情報が全く入ってこないのに誰も疑問に思わず、校長が男になったり女になったりする。そんな狂気と正気が入れ替わってしまう日常を読者も当然として受け入れてしまい、いつの間にか自分も時の流れという海に漂っている。人の愚かさ醜さを超越した永遠の時間こそが本書のテーマだと気付かされるのだ。2024/01/22
ムッネニーク
205
68冊目『麦の海に沈む果実』(恩田陸 著、2004年1月、講談社) 『三月は深き紅の淵を』の中で描かれた理瀬の物語を膨らませ、長編にしたかの様な作品。登場人物は『三月は〜』と共通しているが、作中で起こる事件や物語の結末はかなり異なっている。閉ざされた環境と数多の謎が描かれた、ミステリーの魅力に溢れる作品ではあるが、クライマックスへと向かうにつれてどんどん小さく纏っていってしまったという印象を受けた。 「そう、私たちは皆、灰色の海にゆらゆらと漂っていた。」 2022/11/05
ダイ@2019.11.2~一時休止
196
三月その2。前作の短編の中の一編のキャラで長編。相変わらずよくわからない箇所もあったが面白かったし続編に進もう。2015/07/04