出版社内容情報
吉川英治文学賞受賞作
信義なき世をいかに生きるか
感動をよぶ歴史叙事詩
謀叛に巻きこまれ、子国は果てる。3年の長きにわたり喪に服した子産はその後、苛烈なる改革者にして情意あふれる恵人として、人を活かす礼とは何かを極め、鄭と運命をともにしていく。時代を超えることばをもった最初の人・子産とその時代を、比類なき風格と凛然たる文体で描く、宮城谷文学の傑作長編!
巻十一 独裁者
巻十二 貴門の明暗
巻十三 大夫の時代
巻十四 仇敵
巻十五 政変
巻十六 廟堂の器
巻十七 草の思い
巻十八 和と争
巻十九 宰相の席
巻二十 礼の宇宙
あとがき
宮城谷 昌光[ミヤギタニ マサミツ]
著・文・その他
内容説明
謀叛に巻きこまれ、子国は果てる。三年の長きにわたり喪に服した子産はその後、苛烈なる改革者にして情意あふれる恵人として、人を活かす礼とは何かを極め、鄭と運命をともにしていく。時代を超えることばをもった最初の人・子産とその時代を、比類なき風格と凛然たる文体で描く、宮城谷文学の傑作長編。
著者等紹介
宮城谷昌光[ミヤギタニマサミツ]
1945年愛知県蒲郡市生まれ。『天空の舟』で新田次郎文学賞を、『夏姫春秋』で直木賞を、『重耳』で芸術選奨・文部大臣賞を、『子産』で吉川英治文学賞を受賞。中国古代に材をとった歴史ロマンの第一人者
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
82
下巻になるといよいよ子産の活躍の場が与えられます。鄭の執政になって自分の信じることを行う、本当に民のための政治を行うということで、礼をもって政治を行うということで孔子も称賛しています。読んでいてすぐ頭に思い浮かぶのはなぜか日本の政治家ばかりです。2015/08/16
著者の生き様を学ぶ庵さん
37
子産は孤高の天才に非ず、択能使之(たくのうしし)、能ある者を択び、之を使う。次の宰相と思しき子大叔、外交・辞令に長じたる子羽、予言・計画策定に優れたる裨諶(ひじん)、政策決定の馮簡子。これに大卿たる子皮を加えたる者に子産は輔弼さる。独善たる孤高の天才に非ざるところ、宮仕への我が身も學ばむ。お手本は孔孟にあらず、太公望・晏嬰・管仲・子産・楽毅・孟嘗君なり。朋友・同士・食客の類は不可欠なり。2016/01/23
キジネコ
36
子産の物語には違いないけど各国の政治を主導する有能な大夫達の頭角の物語でもありました。宮城谷昌光さんの小説、春秋舞台の「晏子」や「沙中の回廊」「夏期春秋」「重耳」や「介子垂」など好きな作品多いのですが、この作は主人公の描かれ方が淡白に過ぎてワタクシの好みを満たしてくれないという愚痴は致しておきます。下巻では「言辞の許容量」という言葉に出会いました。「どれほど言辞を大切に育ってきたかが、その人の器量と創造力の大小を決定する」言葉の限界性を前提に考えてしまう事を見直したいと痛く感じました。子産の仁、思いやり。2020/08/07
akira
28
子産下巻。 非常に読み応えのある一冊だった。子産という人の魅力に惹かれその動向から目が離せない幸せな時間だった。人としてどうありたいのかを垣間見た。 思えばこうやって感想の最後に引用した一節も、1000を大きく超えた。読書に本格的に耽溺できるようなったのは、ことば面白さに惹かれるようになったからと言える。時や場所を越えて伝わるのは、そこに内在する人間性のおかげだろうか。残したいことばに出会えるのは読書の楽しみだなと。 「時代を越えてゆくことばをもったのは、子産が最初の人であった」2021/11/28
サチオ
21
再読。父・子国を亡くした後、現代にも通じる数々の修辞を残した子産。作中のいくつもの言葉が微笑みを生じさせて暖かさが胸を満たす。子産の他にも興味深い人物が幾人もいて、子展や子皮の政治的姿勢や、楚の共王の諡の逸話にも思いを通わせた。最後に大国・晋の危うい立場にいた宰相、士カイへの愛情ある苦言が特に気に入っています。「あなたのおかげでわれわれが生きている、と人にいわせるようになさい」。その後の彼の真摯な姿勢が全てであると思う。私の人生の教科書です。2013/12/07