内容説明
模型交換会会場の公会堂でモデル女性の死体が発見された。死体の首は切断されており、発見された部屋は密室状態。同じ密室内で昏倒していた大学院生・寺林高司に嫌疑がかけられたが、彼は同じ頃にM工業大で起こった女子大学院生密室殺人の容疑者でもあった。複雑に絡まった謎に犀川・西之園師弟が挑む。
著者等紹介
森博嗣[モリヒロシ]
1957年愛知県生まれ。現在、某国立大学の工学部助教授。1996年、『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞し、衝撃デビュー。以後、犀川助教授・西之園萌絵のS&Mシリーズや瀬在丸紅子たちのVシリーズほかの作品を発表し人気を博している
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tetchy
444
事件の舞台が模型作品展示・交換会、つまりモデラー達の集いであるから森氏の趣味がある意味横溢していると云っていいだろう。シリーズ9作目にもなると固定メンバーの知られざる事実が小出しに明かされて面白い。本書はフィギュアにコスプレにとオタクたちの集いと云った趣のある内容、大御坊安朋のオネエキャラは刊行当時では認知されていなかったせいか、比較的その濃度は控えめだが、現在ではもはや珍しくもないので、いささか早すぎたテーマだったのかもしれない。逆に近年ドラマ化されたことはようやく時代が本書に追いついたということか。2016/05/15
ehirano1
291
長いですね(笑)。「形と型」、「正常と異常」がテーマだったように思いました。こういった"ムズカシイ"テーマを犀川先生が事件を通して萌絵に教えている(萌絵が教えを乞うている?)形式が当方の理解を促進します。特に今回は、犀川先生よりもむしろ国枝先生からの教え、つまり「単純化」が印象的でした。2018/02/03
抹茶モナカ
286
オタク文化を主な舞台にして、異常と正常の境界について、問題提起して、小説は終わる。異常なキャラクターの行動を理解不能のままにするのは、少し残念だった。なかなかボリュームのある本だったから、説明して欲しかった。2014/10/28
勇波
284
【年末ジャンボ大長編祭・初参加-ラスト】久々、S&Mシリーズ再開です。前3作の変化球気味の物語からオーソドックスな感じに戻ったように思います。相変わらず犀川先生の意味なしジョークと国枝先生の発言一つ一つがキレッキレ。。あと金子君やらラブちゃん達の脇役のキャラも際立ってます。それに比べて萌絵嬢の暴走っぷりが少し影を潜めたような…。今作の犯人の動機について何時もながら意味不明。でもそれでいいんです。これこそこのシリーズの真骨頂なのですから(笑)さていよいよ次は念願の『有限と微小のパン』。楽しみだ★2016/01/21
KAZOO
179
森さんのこのシリーズの最後から2番目になりました。密室ものですが、やはり読者の視点を惑わせる工夫もされているようです。ものすごく厚い本で、もって歩くには大変ですが読んでみると結構早く読むことができました。この内容を読んでみると私にとっては比較的映画化されてもいいような感じを今までで受けました。2016/03/29