講談社文庫<br> アメリカの夜

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講談社文庫
アメリカの夜

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  • サイズ 文庫判/ページ数 176p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062730570
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報



阿部 和重[アベ カズシゲ]
著・文・その他

内容説明

映画学校を卒業し、アルバイト生活を続ける中山唯生。芸術を志す多くの若者と同じく、彼も自分がより「特別な存在」でありたいと願っていた。そのために唯生はひたすら体を鍛え、思索にふける。閉塞感を強めるこの社会の中で本当に目指すべき存在とは何か?新時代の文学を切り拓く群像新人文学賞受賞作。

著者等紹介

阿部和重[アベカズシゲ]
1968年山形県生まれ。日本映画学校卒業。演出助手などを経て、1994年本作品で群像新人文学賞を受賞しデビュー。1999年『無情の世界』で野間文芸新人賞受賞。他の著書に『ABC戦争』『公爵夫人邸の午後のパーティー』『インディヴィジュアル・プロジェクション』、エッセイ集『アブストラクトなゆーわく』がある
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

106
リズムに慣れるのに時間を要した、リズムに慣れると、バカバカしい若者の凝り固まった青い屁理屈に延々と付き合わさせれるのだが、それが不快でもない。こういう、自己の中で中途半端なまま吐き出されずに溜まった思考エネルギーは滑稽で、痛々しく、結局何も生み出さないまま終わるのだろうが、その着地を見事にしたのは、作者の阿部和重が滑稽な自分を中山唯生にうまく演じさせ、彼が自分に課した鍛錬(それは、まわりをあんぐりとさせるような勘違いから生じたのに)が結局、実を成していたからだろう。最後の唯生のキレ方がロックでよかった。2015/05/20

yoshida

97
阿部和重さんのデビュー作品。阿部和重さんの作品は物語に入り込むまで、時間を要する場合がままある。デビュー作品でもあり本作は尚更か。読みやすい作品ではない。狂気と発露と暴走、そしてカタルシス。阿部和重さんの作品に内包する要素が詰まっている。喜代三と撮影現場に向かうところからカタルシスと回収は始まる。この為に阿部和重さんの作品を読んでいると言っても過言ではない。冒頭でのブルース・リーとジークンドーが回収される場面は笑ってしまう。最後の主人公の振れ幅。この狂気とカタルシスを充分に楽しむことが出来た。2021/02/28

けい

76
阿部和重さんのデビュー作品。主人公中山唯生は「映画」の世界に自己を置き、唯々思案にふけっている。筆者自身を主人公に投影し、戦う姿勢を明らかにする。序盤は理屈ぽく、こねた文章は読み進めるのに苦労する。我慢して読み続けると筆圧が上がって一気に物語が動き出す。洗練される以前の筆者の文章、少し青臭い印象を受けるが、これはこれで魅力的だった。2014/03/10

コットン

66
トリュフォーの同名映画につられて読んでみました。素直だけれど読み手を選ぶ蓮實重彦を少し柔らかくした文体でこの本のリズムに乗り切れなかった感じだったけれど、筆者が映画好きなのがわかり好感触でした。2017/04/09

Mishima

35
「映画の人」である主人公が「本の人」になっていった、ということを説明する、としながら、幾つかの物語(例「ドン・キホーテ」)や日常の些末なエピソードを盛り込みつつも、その大凡は、主人公の取り留めのない思考を聞かされ終わる、という読む人を選ぶであろう本。思考面では「春分の日」「秋分の日」などにいちいち意味付けし偏執的なこだわりを見せる一方、日常は単調極まりない主人公の二面性。結末はタイトルの「アメリカの夜」についてが説明されていたが、著者の「映画への薀蓄と思い」を語るための本だったのかな、と。2016/07/23

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