講談社文庫<br> ひまわりの祝祭

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講談社文庫
ひまわりの祝祭

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  • サイズ 文庫判/ページ数 530p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062648981
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

自殺した妻は妊娠を隠していた。何年か経ち彼女にそっくりな女と出会った秋山だが、突然まわりが騒々しくなる。ヤクザ、闇の大物、昔の会社のスポンサー筋などの影がちらつく中、キーワードはゴッホの「ひまわり」だと気づくが…。名作『テロリストのパラソル』をしのぐ、ハードボイルド・ミステリーの傑作長編。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

438
この作家ならではの本格的ハードボイルド長編。本篇は2つの鍵を持っていて、それらを巡って物語が展開する。しかも、抜群のスピード感を持って。2人の主要な登場人物は、いささか特技があり過ぎて、その分リアリティには欠けるのだが、小説全体はそうした欠点を補って余りある。とりわけ特筆すべきは、ハードボイルドでありながら、そこに抒情が込められていることである(もっとも、優れたハードボイルド作品は、みんな多かれ少なかれそれ固有の抒情を湛えているものなのだが)。麻里と、直接は姿を現すことのない英子の存在がそれを具現化する。2021/04/27

Tetchy

183
本書はファン・ゴッホの未公開のひまわりの絵画を巡る美術ミステリ。しかし単なる美術ミステリにとどまらず、複雑な絵を描きながら展開し、冒険小説の様相も呈してくる。更にゴッホの知られざるひまわりの絵の存在を巡るまでの道のりは本格ミステリ的興趣もあり、実に面白い。ゴッホが8枚目のひまわりを書いていた可能性も生前の創作姿勢から可能性の高い“あり得る話”だと思わされ、歴史秘話的な興趣に満ちている。作者の美術の造詣の深さを堪能した。既に鬼籍に入っており、今はもう数限りある残された作品を愉しむしか術はないのが残念だ。2021/09/21

佐々陽太朗(K.Tsubota)

134
なかなかの長編。謎が多くその謎がなかなか解けていかないので、気ぜわしい人には読みづらいかもしれません。しかし、会話がいかすこと、登場人物が全員魅力的な持ち味を出していること、なによりも文章がかっこいいので飽きずに読めます。謎が解けたときの切なさ、自殺した妻の主人公に対する愛の深さを知ったときの感動。やはり伊織さんの小説は最高です。『テロリストのパラソル』にならび、何度でも読み返したい小説です。2016/01/29

KAZOO

131
藤原さんの再読の2冊目です。やはり読み出があります。主人公やその周辺の人々の紹介や動きから後半に入りこの本の主題となるゴッホ作品についてのエンターテイメントが久しぶりに楽しめました。詳細は20年前に読んだときのをすっかり忘れてしまっていました。主人公は本当はかなり頭がいいという感じを今回持ちました。また黒幕の秘書をやっている人物にも興味を持ちました。2017/11/27

じいじ

131
 骨太の男が書いた重厚な物語がぐいぐいと胸に、いや脳に響いてくる。主人公は、好きな飲み物は牛乳という、一見ひ弱な中年男。しかし、アートディレクターとして仕事ができる男。そんな男が謎に包まれた愛妻の自殺で一変する。突然訪れた人生の転機、ゴッホ「ひまわり」の名画の争奪戦に巻き込まれる。著者の意図なのか、前半は話のテンポの遅さに歯がゆさを感じたが、さすが伊織さん独特の情況描写と心情描写、謎解きの著述は見事で、読み応えがあります。妻の主人公への愛の深さには感動です。泣かされました。2017/08/28

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