内容説明
十七世紀イタリア。侯爵モンタルト家別邸の、亡き女主人が丹精込めて造った庭園で男の死体が発見される。つづいて次々と起こる侯爵家に関わる者たちの不可解な死。渦巻く血の輪舞。“呪われた庭”に隠された真実のメッセージとは何だったのか?建築探偵シリーズで大人気の著者が贈る長編幻想ミステリ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
セウテス
68
篠田氏独特の中世幻想ミステリー第2弾。「琥珀の城の殺人」で、少女漫画的と批評された事に奮発して、敢えてこの設定で書き上げた作品らしい。中世イタリアの小村の領主の庭園で起こった殺人事件と、庭園に隠された謎を推理するミステリー。中世ならではの身分の違いによる、会話や態度が気にならなければ、欧州文化の蘊蓄も楽しめると思う。犯人の推測はつくものの、家系図に隠された謎を明かにする伏線は無いように思える。最後に明かされる庭園の謎は印象的で、暗号解読の愉しさも在り殺人事件の犯人捜しより、深い意味と感動を与えるだろう。2016/05/16
十六夜(いざよい)
10
呪われた庭園が祝福の園として生まれ変わる話はとても面白かった。ただそちらに話が傾き過ぎて、殺人事件の印象が若干薄めに…。設定が好みだったからか、前作の琥珀の城よりは、入り込んで読む事が出来ました。2015/01/01
Tetchy
8
なんともまあ、細い線で描かれた美麗な絵が目に浮かぶ少女マンガを読んでいるような舞台設定、登場人物設定だ。しかしこの少女マンガ的本格ミステリも2回目であったせいか、読み難さは相変わらずあるにせよ、慣れもあり、以前よりも浸れた。最後に明かされる祝福の庭に隠されたメッセージは殺人事件以上の謎解き妙味に満ち、作者が書きたかったテーマがこちらにある事が容易に解る。そしてそれらメッセージの数々は欧州文化の豊かさと欧州人の洒脱さの蓄積であり、こういう薀蓄が好きな私にとっては逆にこの謎解きがあることで救われた思いがした。2010/04/28
y yoshi (イツモ ホンヲ ハナシマセンデシタ)
7
シリーズ2作目。名前が覚えられないの。『灰色の砦』にしておけばよかった。2019/07/19
むなぞ
4
当時小学生の私をゴシックミステリの世界へ誘い込んでくれた作品を再読。 中世の城で大家族に起こる連続殺人。繰り返し殺人が起こる呪われた庭で起こる華やかな宴。ゴリゴリの古典ミステリ設定にもかかわらず、現代に書かれ翻訳ではないというだけで、とても読みやすい。思えばこの作品の類似作を探し続けた読書生活だった。2024/04/25