内容説明
戦国の魔王松永弾正、己が邪恋を成就せんと、妖術師果心居士の弟子・根来忍法僧に数千の美女狩をさせた。伊賀忍者笛吹城太郎の妻・篝火もまたその贅となって果てた。だが奇怪!復讐に起った城太郎の前に、弾正の寵姫が、篝火の顔で艶然と微笑み、地獄へと誘う。根来vs.伊賀、容喙する柳生新左衛門の死闘。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けそけそ
58
妻を奪われた忍者が邪悪な忍者衆に復讐する話 ⭐︎3 美女を集める邪悪な忍者衆に妻を奪われた忍者が復讐する話。ストーリーは至極単純だが、多くの魅力が詰まっている。 摩訶不思議な忍法、義を重んじる人物像、史実に沿った展開、妖艶な美女、痛快な復讐劇。 好き嫌いは分かれるが、好きな人にはただただ最高に面白い。2020/11/24
bookkeeper
29
★★★☆☆ 再読。伊賀忍者が、妻の敵の根来衆七法師と松永弾正に闘いを挑む。女性に対する扱いがかなり酷い。あんまりだよ。そこさえ乗り越えられれば楽しめるかも。 主人公の笛吹城太郎は必殺技を持っている訳でも無く、基本的にスゴイけどただの人。そんな彼が超人集団にいかに立ち向かうかで読ませてくれます。大仏殿での闘いも印象的。 混同しやすい「甲賀忍法帖」との違いは以下の通り。甲賀〜は多人数対多人数の団体戦で、伊賀〜は一人(支援者はいるが)対多人数。甲賀〜は両者の立場がフラットだが、伊賀〜は被害者-加害者。2019/03/06
藤原
17
久しぶりの山風。エログロ指数はかなり高い。漁火の見事な悪女ぶり、右京太夫と主人公の悲恋とかドラマチックでとても楽しかった。忍法帖に柳生石舟斎が出るのはめずらしいからいっそのことがっつりバトらせて欲しかったのがちょっと惜しい。物凄い手間暇かけて作るのが惚れ薬っていうのがちょっと可笑しかった。やっぱり楽しい忍法帖。2020/01/30
きょちょ
15
再読本。 主君の妻を狙う松永弾正、それに加担する果心居士と弟子の根来忍法僧七人。 妻、篝火を殺され復讐に燃える伊賀忍者との戦い。 松永弾正の寵姫、漁火が根来僧の忍法によって、顔を篝火に変えられ、そこからより「悪」に徹する。女性の嫉妬心・独占欲が良く描かれている。 上泉信綱や柳生(今回は石舟斎)が登場すると、白戸三平や井上雄彦のマンガでもワクワクしてしまう私。 全体としては女性三人が物語を面白くする。 けれども、根来忍法僧が1対1になると結構脆いのが残念。 映画は全く面白くなかった。 ★★★2016/03/23
あかつや
11
二人の人間の首を交換してどちらも生かしたままにする技術を忍法と言い張るのはさすが山田風太郎だけど、今回は忍者バトル自体はあんまり面白くない。主人公の伊賀者・笛吹城太郎が忍者としてはあまりにも正統派なのと、対する根来衆がちょっとおっちょこちょいであっさりやられてしまうのがなんか物足りないように思う。でもその代わりと言ってはなんだが、ドラマが色々込み入っていて面白かった。境遇はぜんぜん違うけど瓜二つの容貌を持つ絶世の美女をめぐるアレヤコレヤ。それといつも忍者に圧倒される剣豪が凄みを見せてくれたのもよかったな。2020/01/01