内容説明
枕は落語のイントロ。バイクの車庫に居ついたホームレス、英語留学の顛末、玉子かけご飯まで小三治にかかるとたまらなく面白い。旺盛な好奇心と確かな眼、磨いた話術がくり出す枕は枕を超えた。長短18篇を取り揃えてご機嫌伺います。人生っていいなと心温まる、「まくらの小三治」の真骨頂、お楽しみの程を。
目次
ニューヨークひとりある記
めりけん留学奮戦記
玉子かけ御飯
駐車場物語
寄席、いま昔
彦六師匠と怪談噺―「はて恐ろしき執念じゃなァ」
女の色気
フランク永井のゴルフ
バイクは最高!
陛下の思い出〔ほか〕
1 ~ 4件/全4件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
493
つくづく頭のいい方なんだろうなぁと思う。一編一編が結構なボリュームなので、これが噺のまくらであることに途中まで気づかなかった。フルで人生を楽しんでらっしゃる師匠の、エッセイ集的な。噺家さんの私的なお話だもの、ところどころ声を上げて笑えるのは当たり前かもしれないが、「陛下の思い出」には思わずじ〜〜んとムネアツになってしまった。こんなお噺の数々を、ナマで聴けたらどんなにいいだろう。帰国したら足を運びたい場所がまた増えた。2021/02/19
いつでも母さん
174
お亡くなりになった時、私は大好きな読み友さんを思いました。TVでしか見たこと(聞いたこと)しか無いけれど、お若い頃の小三治さんのお顔はちょいと尖って見え・・晩年はそこに年輪(いい意味で)が刻まれて、笑った顔に何とも言えない愛らしさを感じました。【芸】をどうこう言えるなんて烏滸がましいですが、こういう方を喪うのは惜しいですね。本作はもちろん面白かったです。ひとりでに間も感じつつ毎日少しずつ楽しみました。『もひとつま・く・ら』も読むと決めました。2022/03/02
初美マリン
134
笑いながらドキッとする。80歳を越えた老人が五年先の日本をみてくれよ、といえるか、もちろん胸をはり自信に満ち溢れて。塩の話もとても良かった。この人の趣味と研究とても深い人でした。2021/03/07
chantal(シャンタール)
97
最近また「昭和元禄落語心中」を見始めて、しばらく積んでたこちらをそろそろ読まねばと、引っ張り出してきた。まくらとは、落語の本題に入る前のちょっとした雑談みたいなものなのだか、小三治師匠のまくらはとっても面白いと評判らしい。評判通り、ほんとに面白かった!何度声を上げて笑ってしまったことか。私は頭の中で音読しながら読むタイプなので、最初は江戸言葉になかなか慣れず大変だったが、だんだんこれが小気味よくなる。気っ風がいいねぇ、粋だねぇ。師匠もすでに80歳の人間国宝、うちの父と同じ年。これからもお元気で!2020/10/17
ふじさん
96
小三治の訃報を聞き、急遽読んだ。彼の語るまくらは、本題より面白いと言われるもの。改めて読んでみると彼の物へのこだわり、彼の人間性、彼の人生観等が垣間見れて面白かった。中でも「駐車場物語」は、下手な創作落語より面白い。生前の小三治を生で見る機会は残念ながらなったが、TV等で見ると今では少なくなった落語家らしい風情があり、心を引き付けられた。最後の寄席の出し物が「猫の皿」だったそうだが、独特の語り口が思い出される。 2021/10/12