講談社文庫<br> 朝の歓び〈上〉

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講談社文庫
朝の歓び〈上〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 395p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062634779
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

妻に先立たれた良介は、いきなり会社を辞め旅に出た。そして昔愛した日出子と彼女の故郷で再会し、二人でイタリアに行く決意をする。良介は父親とケンカ別れした兄に会うために、日出子は少年パオロの成長を確かめるために…。揺れ惑う愛を描きながら、生きることの歓びを見つめ直す、宮本文学屈指の名作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

mariya926

109
不思議な設定です。妻を病気で亡くした夫が、別れた愛人に会いに行き、再会した愛人のために大贅沢旅行にイタリアに行きます。「ドナウの旅人」を読んだばかりだったのて、またヨーロッパ旅行かぁと思ってしまいました。でもこの本はドナウよりも魅力的な旅行に感じません。それは旅行に出かけてすぐに愛人に男の影が見えたのを疑った夫の行動に共感できなかったからだと思います。ただ障害を抱えて長生きできないと言われていたパオロが生きて仕事をして、またその両親の明るさと陽気さに救われた気がしました。下巻に進みます。2019/03/11

chikara

33
大好きな作品の再読。「他の人のために火を灯せば、我が前も明らかになるが如し」人の為に!と強く思わせてくれた作品だったと思い出しました。良い作品は何度でも読み返さないと感じました。2019/06/09

June

28
流れるような文章、どこか華やかさを帯びて進むストーリー。主人公の良介が不完全な人間だからページを繰る。妻を病気で失い長年機械的に続けてきた仕事を辞め何もしたくなる気持ち、失った後で感じる妻への愛しさ、迷う高校生の息子へ向ける愛情、妻以外の女性に惹かれる感情、様々なものを抱え生きている。新婚旅行で置き去りにされた女、不器用ながら必死に生きている障害児のパオロ、自分のせいで事故を起こし男に障害を負わせてたと呵責を感じる恋人、それらを描く作者は何かを訴えようとしている。宮本輝にはまりそう。2014/04/25

エドワード

22
江波良介は妻を愛しながら、恋人を持ち、別れる。四年後、妻が癌で死ぬ。大学生の娘と高校生の息子、多額の生命保険が残される。その恋人、小森日出子は、かつて旅した地で、ある障害児と交わした約束を果たしにイタリアへ行く。良介は彼女への罪滅ぼしと称して、旅費を持ち、旅路をともにする。子供達にはそれなりに人生観を語り、彼女とはよりを戻す良介に、調子の良いヤツだな、と感じつつ、毎度の宮本ロマンを期待する。ローマ到着後、日出子が不審な行動を見せ、ワケわり娘、木内さつきが現れる。障害児との再会に二人は歓喜するのだった。2014/02/06

シュラフ

14
主人公は、妻の死による保険金で会社を辞めて昔の恋人と海外に出る。昔の恋人は、妻を亡くした男を海外旅行に誘う。旅先で出会った若い女は、主人公に誘われて一緒に旅先をまわる。主人公の友人は、愛人に産ませた子供を主人公の子供として届け出るよう頼み込む。出てくる登場人物みんなが変だ。宮本輝の小説にはこの手の登場人物が多い。"今の日本はおかしい"など言って社会を批判している場合ではないだろう。だけど宮本輝の小説って面白いんだよね。登場人物たちの妙な人間くささがたまらない。みんな肩の力を抜いて生きてる感じだ。2014/03/23

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