内容説明
不幸なことなど何もない、しかし決して幸福ではない佐和子・25歳。その彼女の生き方を変えたのは、残された祖父の日記帳だった。パリで暮らした祖父の本当の姿を捜し求めることで、大切な何かを追い求めていく彼女が見つけた答えは!?息づまる展開の中、普通の一人の女性の成長を描いた宮本文学の傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
chikara
70
再読。忘却でした。盆休みを挟み時間が掛かってしまった。 『私の生きた時代は、夢みたいだった。まぎれもなく歪んだ時代でした。しかし、その歪みが、まっすぐ高く跳ぶために歪んだのだという時代であってもらいたいものです。』 印象に残るフレーズ。 さて下巻へ。2015/08/14
佐島楓
56
離婚し人生に倦んだ佐和子は、祖父からの遺産として日記帳を受け取る。思いがけずもそこには、若き日の祖父の波乱万丈な人生が・・・。下巻へ。2015/05/26
ペルー
41
【再読】私より先に読み終えた娘は「面白い‼」と絶賛。私はと言えば、まあ、読みやすいですよね。上巻だからかな?まだワクワクかんは出ませんね。ずいぶん昔に読んだ時は大変面白く、いろんな人に勧めたのだけれど、歳をとったということでしょうか。下巻に期待。2018/03/14
wanichan
29
なぜ祖父は孫の佐和子に遺品として自分の日記を託したのだろう?その理由を知りたい為に、読み進みます。下巻が楽しみです。2014/10/10
まーみーよー
19
宮本輝らしい感じの、一見「普通の女性」である主人公の自分探しの旅。しかし、そこは宮本輝なので普通の女性といいつつ衣食に困らない育ちの良い女性であったり、一緒に行動する男性もなんだか真っ直ぐだったりする。主人公の佐和子に遺された祖父の日記帳から、第二次世界大戦前後の祖父の隠された姿を探し求める。普通の女性の日常から大戦当時の市井の人々に視線が広がる展開で先が気になる。『あの当時人々にとっての正義は、戦争の是非などではなく、〈生きる〉ということでした。』が印象深い。2022/08/29