講談社文庫<br> 顔に降りかかる雨

講談社文庫
顔に降りかかる雨

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  • サイズ 文庫判/ページ数 406p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062632911
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

親友のノンフィクションライター宇佐川耀子が、一億円を持って消えた。大金を預けた成瀬時男は、暴力団上層部につながる暗い過去を持っている。あらぬ疑いを受けた私(村野ミロ)は、成瀬と協力して解明に乗り出す。二転三転する事件の真相は?女流ハードボイルド作家誕生の’93年度江戸川乱歩賞受賞作。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

457
桐野夏生の初期作品である本書は、江戸川乱歩賞の応募作として書かれたこともあって(結果は見事に第39回の同賞を受賞)、きわめてエンターテインメント性の高いものとなっている。主人公ミロの父親が引退した高名な調査探偵であったとか、成瀬が元東大全共闘の闘士であったことなどは小説にとっては明らかに夾雑物である。この小説を最初に読んでいたら、おそらく桐野作品とのお付き合いはここまでだっただろう。もっとも、サスペンスの終末が案外に無難なところに収まったかに見えた後に、さらなる展開が用意されていたのは、只者でない証明か。2017/05/07

ehirano1

160
淡々と話は進みますが中弛みや冗長は全く無いのが凄いです。おそらく中盤辺りから登場するグロやペインのショッキングな描写で中弛みを吹っ飛ばしながら少しずつ真相に近づいていくので、読者を飽きさせないというか、物語に引きずり込んでしまうというか、物語から逃れられなくなるのではないかと思いました。2018/05/19

納間田 圭

143
雨の降り続く梅雨の夜。午前3時に部屋の電話が鳴った。夢の中では車のクラクションの音だった。とても嫌な夢の途中だった。20回以上は鳴ったコールがグルルって中途半端に鳴りかけて止まった。いったい誰からの電話だったのだろうか?。そんな夜に起きた突然の事件。さっきの電話に出ていたら…展開も変わっていただろう。主人公の親友の女性記者が1億円とともに…行方不明に。通話履歴によると最後の電話が主人公の電話だった。盗られたお金は…世に出せないヤバい金。早速…その筋の者達の追っ手が掛かる。グロいシーンや〇ロいシーン…多数2021/11/03

おしゃべりメガネ

141
なんと!我ながら意外や意外?にも初読みになった桐野さん作品です。多数の作品を積んであるので、すっかり何作かは読んだ気になってました。そんな桐野さんの江戸川乱歩賞受賞作品です。今から25年の作品なので、やはり時代を感じずにはいられませんが、女性探偵「村野ミロ」誕生となった記念すべき女性ハードボイルド作品です。意外?にも言われてみれば女性ハードボイルドな作品って、あまり思いつかないかもしれません。最後のトリック明かしは若干急いでしまった感がありますが、一人の魅了的なキャラの誕生と活躍が楽しみなシリーズです。2018/12/14

Tetchy

134
世に数多ある私立探偵小説の定型とも云える失踪人捜しであり、特に新味がない。ストーリーの流れもオーソドックスで、文体や筋運びには素人の域を既に脱している感があるにせよ、これぞと思うダイヤの原石のような煌めきは特に感じなかった。しかし今や押しも押されぬ女流作家としてその名を馳せているのだから、当時の審査員の選択眼は間違いではなかったわけだ。本作はブレイクするまでの少しばかり長い助走期間の第一歩であるから、ここで見限るのは時期尚早だろう。今後も読み続けていくことにしよう。2010/03/18

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