内容説明
主著『日本改造法案大綱』に記された壮大な国民救済の論理と日本民族発展の理想は、青年将校に多大な影響を与えた。“昭和維新の聖典”としてもてはやされたばかりではなく、その後の大日本帝国の運命をも変えた。本書は、昭和初期の最大のイデオローグであった北一輝の生涯と思想を追究した傑作評伝である。
目次
第１章 二・二六事件勃発と北一輝
第２章 北一輝の故郷をゆく
第３章 『日本改造法案大綱』
第４章 北一輝の誕生
第５章 戦争の予兆と予見
第６章 五・一五事件勃発！
第７章 北一輝小論
感想・レビュー
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denden
1
北一輝の評伝。「思想書」ではない点は強調しておく。著者は元海軍機操縦士で、兵学校経験者。他の評伝とは違なり軍関係に詳しい点で、２２６参加将校の記述に正確さが特徴となる。この点は重要で、この書の特徴の一つでもある。思想的や歴史に関する部分は、更に好適な書もあるかも知れぬ。章ごとに書かれたであろう事を窺わせる途切れた感は散見されるが、それを補うかの様に人物の魅力を読み取ることが出来る。北や熱血漢・磯部の墓参りさえ頭に浮かんでくる。560Pの書であるが、５１５以降の記述に熱くなり読了は早まるだろう。2018/06/06
茶幸才斎
1
青年将校らを魅了し、昭和維新を掲げる二・二六の決起へと突き動かした『日本改造法案大綱』の著者、北一輝とは何者であったか。北及び時代の関係者（西田税、磯部浅一ら）の動きを追いつつ、辛亥革命以降の国際情勢と日中戦争前夜に至る血なまぐさい国内情勢が鮮やかに語られ、すごく面白い。驚嘆すべきは、北の神懸かった天才ぶりである。同大綱に描く新政国家の青写真は云うに及ばず、昭和７年の『対外国策に関する建白書』における、その後の太平洋戦争の顛末を想起させるアジア地域の国際軍事バランスに関する正確な分析には、寒気さえ感じる。2011/05/05
スズキパル
0
「国体論及び純正社会主義」の執筆、反孫文の立場からの中国革命への支援、そして「日本改造法案大綱」の発表など、北一輝の一生を概観しつつ、五・一五事件、三月事件、十月事件等の、軍部によるクーデター未遂事件とそれに関わった人々についても丁寧に解説してある。2016/12/31
