講談社選書メチエ<br> イスラーム教「異端」と「正統」の思想史

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講談社選書メチエ
イスラーム教「異端」と「正統」の思想史

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  • サイズ B6判/ページ数 266p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784062584463
  • NDC分類 167.2
  • Cコード C0314

内容説明

「最終預言者」ムハンマド亡き後、「信仰」の正しさは誰が決めるのか。あくまで信仰の純正性を追究する「極端派」、生活との「妥協」を計るその他の多数派。イスラーム教は両者の対立・抗争のダイナミズムから誕生した。イスラーム教形成のプロセスを根源から考察し、ムハンマドが創始した新たなる宗教がスンナ派、シーア派に分かれ、われわれの知る「イスラーム教」になるプロセスを読み直す、スリリングな思想史の登場。

目次

第1章 理想の信仰共同体と「分派」の出現
第2章 「異端」と「正統」
第3章 「宗教宗派」シーア派の成立
第4章 イマーム派と極端派
第5章 イスラーム教のメシア思想
第6章 裏切られた革命
第7章 十二イマーム派とイスマーイール派の台頭
第8章 シーア派とスンナ派の対峙
第9章 イスラーム教教義の限界に向かって

著者等紹介

菊地達也[キクチタツヤ]
1969年生まれ。東京大学文学部卒業後、同大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。現在、神田外語大学准教授。専門はイスラーム思想史。著書に『イスマーイール派の神話と哲学』(岩波書店、第一五回中村元賞受賞)がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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渓流

3
学術書の延長にある硬い本だが、論理構成がシャープで頭にすとんと落ち、、シーア派、スンニ派の教義の成立過程のダイナミズムが分かり、知的満足が得られた。余談だが、イラクを書く記者はこのくらいの基礎知識を持って記事を書いて欲しいものだ。「イスラム教と言えば宗派対立と言うイメージが強いが、・・・サファビー朝以降共存の時代に入った。・・・宗派対立が増えるのは近現代になってからである。」と言う指摘は心に留めたい。2009/11/11

takao

2
ふむ2024/01/10

maqiso

2
最初期から強い共同体を作ったイスラーム教では宗教的な指導者が軍事・政治でも力を持った。アリーとムアーウィヤの内乱時に峻烈なハワーリジュ派が成立した。アリーの与党は後継者を巡って分裂したが、イマームの資格と資質への教義が深まりメシア論も生じた。10世紀以降はイマームの神格化や魂の輪廻が極端派として非難されるようになり、シーア派の枠組みが固まった。同時期のイスラーム教の多数派では、シーア派との論争やカリフとウラマーの主導権争いを通して、学派の寡占状態が成立しスンナ派が形成された。2021/12/15

xin

2
イスラームでは異端(と後世多数派からそう見なされる派閥)が歴史上先に成立し、その異端に触発されて自らを定義する形で多数派としての自覚と教義が形成されきたというとても興味深い内容の本。カイサーン派、ザイド派、イスマイル派、ドゥルーズ派など「シーア派の分派」という一言で片付けられがちな諸派についてそれなりに詳しく知ることができるのもいい感じ。2015/02/02

Myrmidon

2
イスラームの各宗派の成立を時代順に概説してくれる。基本的に少数派で尖った主張の宗派が成立して多数派を離脱、対抗上、多数派が「正統」教義を確立、みたいな流れの繰り返しがすっきり見える。シーア派が中心の記述なためか、指導者(イマーム)が誰でどんな存在とするかで延々割れていく印象(笑)。…しかしちょくちょく出てくる「オレがイマームだ」な人はどーゆー精神構造の人たちなんだ(笑)。特に面白いのが「イマームの代理人」でスタートしながら「いやむしろオレがイマーム」ってやつ。禅譲を受けた体なんだろうか。2012/12/24

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