講談社選書メチエ
伊勢神宮と出雲大社―「日本」と「天皇」の誕生

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  • サイズ B6判/ページ数 270p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784062584340
  • NDC分類 175.8
  • Cコード C0321

内容説明

天武・持統期に成立した古代日本は“内なる”伊勢と“外なる”出雲の二極構造に依って立つ王権であった。出雲の龍蛇信仰の強力な「霊力」を外部から伊勢へ付与することによって、超越祭祀王としての天皇が誕生したのだ。“朝日と夕日”・“太陽と蛇”・“現世と他界”―二重構造のダイナミクスから伊勢・出雲神話を読み直し通説を塗り替える、民俗学と歴史学を融合させた新たな古代史学の誕生。

目次

第1章 伊勢神宮の創祀(従来の学説と、神宮創祀の基本史料;「神話と歴史」の構成 ほか)
第2部 “外部”としての出雲(王権のミソロジー(神話論理学)
出雲世界の歴史と伝承 ほか)
第3章 祭祀王と鎮魂祭(新嘗祭と大嘗祭;鎮魂祭の歴史 ほか)
終章 “日本”誕生への三段階(伊勢神宮の創祀;“外部”としての出雲 ほか)
補論「神社とは何か?」の研究展示から見えてきたもの―博物館と大学院の可能性:総合研究大学院大学文化科学研究科日本文学研究専攻特別講義(実物資料の力;民俗学は広義の歴史学 ほか)

著者等紹介

新谷尚紀[シンタニタカノリ]
1948年広島県生まれ。早稲田大学第一文学部史学科卒業。同大学院文学研究科史学専攻博士後期課程単位取得。現在、国立歴史民俗博物館研究部教授および総合研究大学院大学文化科学研究科教授。社会学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

林 一歩

26
私自身は無神論者で信仰する宗教はないが、実家は代々神道を敬っている。万物に神が宿るという考え方自体、嫌いではない。これに天皇とか権力とかそんなのが混ざってくると途端に胡散臭くなる。 神社自体、テーマパークとして考えると腑に落ちる。変に意味づけはしなくて良いと思う。収穫を祈り、喜び、民衆が集う場として存在する場だと思えばいいのだ。2013/10/20

ヒダン

12
日の昇る伊勢、日の沈む出雲、国を譲らせた側と国を譲る側、伊勢と出雲を対立させて古代日本を読み解く。著者は民俗学に強い人らしく、とても丁寧に歴史を紐解いている。何を根拠としてそこから何を導いたのかを強調した書き方になっている。番号も付けられているが結局何が一番大事なのかよく分からない所もあった。天皇と王権(祭祀王と世俗王)の話や「かむなづき+時雨」→「出雲」という和歌に通じる知識人の連想により、10月に出雲に神様が集まるという伝承が始まったという話が印象に残った。伊勢観光の前に読んだがその役には立たず。2016/01/02

うえ

7
伊勢神宮の天照大神という神の特徴①天皇自身ではなく皇女が御杖代・斎宮として奉祭する神②新嘗の稲米などの穀類と贄物の魚介類を飲食する神③二十年ごとに式年遷宮、社殿の造替をくりかえすこと。「伊勢神宮の祭祀という問題は…歴史的な展開を追跡するだけでは重要な点が見えてこない。記紀になぜ出雲神話が存在するのかという問題も含めて、出雲大社の祭祀と対をなすものととらえるとき、はじめて大和王権の祭祀世界が見えてくる」柳田民俗学を導きの手として考察していく。そして最後に折口信夫の、大嘗祭と鎮魂を主導とする王権論で見ていく。2021/08/03

アメヲトコ

5
民俗学の立場から、古代における伊勢・出雲の成立を天皇の王権との関わりから論じた野心的な一冊。前半の伊勢神宮の成立については面白くそれなりに説得力もある感じでしたが、後半の出雲の話になるとややアクロバティックな展開になり、論証に著者自身苦心している感じ。伊勢に比べて材料が少なく難しいのかな。鉈で切るようなゴツゴツした文体は好みがありそうですが個人的には嫌いじゃないです。2017/03/31

あらま

4
前半の伊勢神宮の成立過程の分析は読み応えがある。後半の出雲パートは龍蛇信仰との関連など仮説の域を超えない部分もあるので、ちょっと急に議論の方向がかわったような気もする。原武史の「出雲という思想」とちょっとかぶるのか2010/03/03

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