内容説明
「我よりおとなしく人物臭き面な奴に、却て山師ハいくらも有」―。江戸中期の大人気学者平賀源内はその華やかな活躍とは裏腹に、自らを「貧家銭内」と嘆きながら、罪人となり生涯を終えた。エレキテルや火浣布の製作、『物類品隲』執筆など本草学への熱い思いを体現しながら、「山師」と誹られた源内。誰もが知っていそうで実は知られることの少なかった、学者としての実像に迫り、再評価を試みる。
目次
第1章 本草学とは何か(本草学のはじまり;江戸初期~中期の本草学;吉宗の奨励政策)
第2章 本草学者源内の誕生(江戸へ;高松藩への再雇用;「芒消」製作;田村一門のかかわり)
第3章 『物類品隲』出版(東都薬品会の開催;「この書が人民の益となることを望む」;珍奇な記載物(1)水、土、石の部
珍奇な記載物(2)草、虫、鱗の部
人参と砂糖)
第4章 火浣布の製作(火浣布の歴史;材料は何か;織り出し成功;前野良沢の火浣布;受け継がれた源内の製法)
第5章 本草学への思い(資金調達のための文筆業;「阿蘭陀翻訳御用」による長崎行き;源内焼と綿羊の飼育;山師源内;「功ならず、名斗遂て年暮ぬ」;さらば非常の人)
著者等紹介
土井康弘[ドイヤスヒロ]
1966年富山県生まれ。東京学芸大学大学院理科教育専攻(化学第一分野)修士課程修了。法政大学大学院日本史学専攻博士課程単位取得満期退学。博士(学術)。専門は日本史、科学技術史。第二回野間科学史医学史研究助成受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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