内容説明
勝つことを宿命づけられた存在。それが戦国大名だった。利益しだいですぐ離反する家臣。地域エゴむき出しの領民…。国を治め天下を望む以前に、彼らの欲望をみたすのが先決の、薄氷を踏むような日々。合戦からは見えない赤裸々な姿を、甲斐武田家三代を通して活写する。
目次
第1章 日の出―家督相続と家臣
第2章 戦う―時代を生き抜く
第3章 治める―公としての統治
第4章 家族―心の絆
第5章 日々の暮らし―日常の決まり
第6章 落日―それでも滅亡した武田家
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
印度 洋一郎
4
武田氏三代(信虎、信玄、勝頼)に見る、"戦国大名というお仕事"といった内容の本。失敗が即ち死に直結していただけに、生活の全てが生き残ること、戦いに勝つことのためにあった。家臣のみならず、領民にも気を配り、軍事、経済、宗教にも通じ、文化教養をも身に着け、一族郎党全員を手駒のように駆使して戦国を生き残らなければならなかった、戦国大名とは何と過酷な仕事だろう。特に信玄は、ちょうど中世と近世との狭間に生きたことが悲劇だったかもしれない。ところで、有名な金山経営や信玄堤は一次資料によると、いわゆる"伝説"の類らしい2011/06/15
小ミカン
4
「天下統一は必要だったか?」がテーマの本をよんだばかりだったので、たまたまでしたがこの本を読んで「必要だった」という気になりました。やはり戦国時代は大変な時代ですね。2009/11/24
mimm
2
フランクで雑学的な楽しい内容のものだと思って手にしたら、がちがちに堅くてお勉強した感じ。個人的に興味の対象と遠く、読むのに一苦労しました。武田氏3代を通しての戦国大名の生活や家族感・政治など。そして滅亡まで。戦国のお殿様って、大変だったのね。2011/05/10
shushu
1
信虎、信玄、勝頼の武田三代の資料から辿る「戦国大名」。註で「歴史学は基本的に資料によって事実を構築していく。小説なら根拠なしに想像を膨らませられるが、それができない」には苦笑w。2018/05/04