講談社選書メチエ<br> アメリカン・ファシズム―ロングとローズヴェルト

講談社選書メチエ
アメリカン・ファシズム―ロングとローズヴェルト

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  • サイズ B6判/ページ数 294p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784062581158
  • NDC分類 311.8
  • Cコード C0322

内容説明

デモクラシーの行きつくところ、ファシズムの影がしのびよる!30年代ルイジアナ州。不正選挙により史上空前の独裁を打ち立て、大統領の座をも狙った稀代のデマゴーグ、ヒューイ・ロング。ローズヴェルトがもっとも恐れた彼の軌跡をたどり、民主主義社会の陥穽を検証する。

目次

序章 アメリカにファシズムはあったのか
第1章 「見える支配」と「見えない支配」
第2章 ロングvs.ローズヴェルト
第3章 恐るべき税制
第4章 ルイジアナ独裁
第5章 だれがロングを殺したのか
終章 キングフィッシュの影の下に

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

coolflat

16
欧州型ファシズムとは違う米国型ファシズムの形。1930年代ルイジアナ州知事ロングの話。ロングの使った手法は民衆の支持を得るために公共事業と福祉行政をばらまき、一方で金融資本や大企業には重税したこと、民衆に階級対立を煽り既成勢力と大企業を陰謀の糸で結びつける陰謀理論で民衆の支持を取り付けたこと、だ。民衆の支持を背景に議会や行政制度を骨抜きにし独裁制を築いた。やり方はヒトラーとそう変わらない。違うのは笑いとパターナリズムだ。陽気なファシズムは恐怖政治を隠すという点で異なった。ロングとトランプが重なって見える。2016/04/10

印度 洋一郎

6
1930年代、アメリカ南部ルイジアナ州で既得権層と対決して民衆を扇動した先駆的ポピュリスト、ヒューイ・ロングと当時の大統領ルーズベルト(文中ではローズヴェルト)との政治闘争を中心に、ロングの政治手法がいかにアメリカ的ファシズムを生み出していったかを追求した本。共に大恐慌下のアメリカで似たような政策を訴えながら激しく対立し、そのせいで全米でも貧しい州であるルイジアナが翻弄されていく 様子は「どっちもどっち」という感じ。ルーズベルトもロング憎しでルイジアナに対して、露骨な連邦予算の締め上げをしているのが意外 2022/10/25

かろりめいと

4
1930年代大恐慌下のアメリカ。F・ルーズベルトが1期目の大統領だった頃に、ヒューイ・ロングという、もしかしたら大統領になっていたかもしれないポピュリスト政治家がいた。この人はルイジアナ州の知事から連邦議会の上院議員になり、「富の共有運動」で全米的な人気を博したらしい。しかしルイジアナ州で独裁者政治を(合法的に)行い、途中で暗殺されました。民主主義の暴走としてのファシズムが、同時代のドイツだけではなく、アメリカでもありました。長い註は本文に組み込んでも良かったのでは?勉強になりました。2021/03/24

富士さん

2
凄まじく面白くて大好きな一冊。再読。でも、論旨には疑問があります。H.ロングのやり方にはアメリカ史上に前例があると著者が指摘されているのです。アメリカは昔からファシスト達の国であったのではないでしょうか?古代から僭主が民衆と結ぶのは常道で、ロングさんはそれに倣ったにすぎないように思います。それに、結果アメリカはファシズムの国になっていません。ワタシはそれは著者が否定した笑いの、もっと言えば“不真面目”の効用だと思うのですが。この不真面目さこそアメリカの一番の魅力であり、健全さの源泉であると思うのです。2014/12/11

Sumioh Watanabe

1
著者の必死の努力(悪口)にも関わらず、ロングの政治手法はともかく、経済政策への批判には全くなっていない。大恐慌まっただ中の米国である。そこで資産課税をしようとしたことについて、何の疑問があるか?その税金を貧者に分配しても大した額にならない、などという批判はそれこそ、現代の経済学者、ピケティ先生などに言わせれば「噴飯物」と言われてしまうに違いない。 ポイントは「投資を促し、マネーサプライを上げる」事にあるわけで、500万ドル(当時)以上の個人資産を実質的に禁じたとて、何の問題があろうか?2016/05/08

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