ブルーバックス
非対称の起源―偶然か、必然か

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  • サイズ 新書判/ページ数 474p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784062575324
  • NDC分類 404
  • Cコード C0240

内容説明

利き手は右手、心臓は体の左側、言語野は左脳、DNAのらせんが右巻きなのは偶然か必然か、どうやって字を書く方向や、車を運転する側、右翼は保守、左翼は革新と決まってきたのかなど、身の回りの中のさまざまな非対称の起源の解明に挑んだ壮大なドラマ。

目次

ワトソン博士の難問題
右手は左手より優れているのか
右と左の意味論
右と左の起源
心臓はなぜ左にあるのか
アミノ酸は左利き
右と左を決める遺伝子
脳の非対称性
言語に特化した左脳
利き手と社会
左利きの苦悩
人すべて対称なり
壮大にして微小なる我が宇宙

著者等紹介

マクマナス,クリス[マクマナス,クリス][McManus,Chris]
ロンドン大学ユニヴァーシティカレッジ心理学および医学教育学教授。『側方性(Laterality)ジャーナル』の創始編集者。さらに多数の雑誌および学術誌に執筆。テレビやラジオにもしばしば出演して日常生活に見られる非対称性、ことに利き手について語る。1999年ウェルカムトラストプライズ受賞の結果が本書となり、2003年アヴァンティス科学書賞受賞。なお博士は利き手および左右の機能分化の世界的権威の一人として知られる

大貫昌子[オオヌキマサコ]
在米翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

猫丸

9
非対称が現れる場面を精査した500ページ弱の労作。ニュートリノのサイズでの左右の好みが光学異性体を生み出し、これがさらに生物の分子モーターの旋回方向に影響している可能性がある。意外にも繊毛の動きは対称的ではない。そうなると生体内部は穏やかな湖ではなく、局所的に一定方向の流れが存在していることになる。特に発生の段階には、流れの方向と強度によって将来の臓器配置あるいは右利き左利きを決定しているようだ。対称性こそがバランスの良さを表すような思い込みもあるが、一方で完全な対称は産出力が乏しい印象もあるね。2023/06/18

Sugi Takahiro

7
右手と左手、内臓の逆転現象などから「対象」「非対称」についてあらゆる分野から考察する本。 ミクロの弱い力のパリティ(対称性)の破れから、生物の体を構成するアミノ酸はすべてL-アミノ酸であること、心臓が左側にあること、脳が非対称的な機能を担うこと、右=善・左=悪といった社会通念や宗教的意味まで展開する。 とにかく幅広い分野にまで話が及び、知的好奇心を満たすには十分な一冊。 自然は対称のとれた完璧な世界かと思いきや、むしろ非対称であるが故に揺らぎが生まれ、それが安定性・進化につながるのではないかと思う。2015/03/14

quabex

2
著者自ら「この本にはたくさんの紆余曲折があり、ときにはその主張も複雑で、一見読者を物理学や生物学的あるいは社会学的領域のさまざまな横道に、引きこんできたようだ」(p.456)と書いていて、全く同感。導入部は楽に読み進めることができたが、物理や生物学の横道に分け入るにつれて手ごわくなり、文字を追うだけに。とはいえ、読了後は、頭のいつもとは違う部分が揉まれたようで爽快。このような本を読むと、ページを繰る手ももどかしいような本ばかり読むのは頭を甘やかすことに他ならないと思ったりするが、これって悪しき教養主義か?2019/07/18

Taro Ishikawa

1
我々が普段何気なく取り扱っている左右という概念に鋭く切り込んだ一冊。ただ哲学から生理学まで幅広く取り扱っているだけあり、個々の事象については物足りない部分もあるかもしれない。なお参考文献のURLは現在リンク切れしているがarchive.orgのhttps://web.archive.org/web/20081206074855/http://shop.kodansha.jp/bc/books/bluebacks/bsupport/hitaisyou.pdfからアクセスできる。

いぬたち

1
非対称、特に左と右の違いという一見単純な疑問を著者のような碩学が突き詰めたらとことん深く多岐に渡る叙述を行えるのかと感心しちゃう一冊。内容も医学・古代・科学など様々な分野に飛び渡り油断するとついていけなくなるが知識の洪水に溺れたければ飛び込んでみるのもいいかもね~。2019/06/29

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