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内容説明
ニュートン力学によれば、初期状態がわかっていれば、悠々たる天体の運行から人間の生命にいたるまで、あらゆる自然現象の未来が完全に予測できるはずだ。この絶対的とも思われる古典力学に立ち向かい、結末は確率的にしか決定されないとする不確定性原理を掲げ、量子力学の本質に鋭く迫る。たとえ話がとてつもなく面白く、わかりやすい。
目次
序章 巨人の星
第1章 ラプラスの悪魔
第2章 ある思考実験
第3章 hの不思議
第4章 因果律の崩壊
第5章 忍術と不確定性原理
第6章 シュレーディンガーの猫
終章 SF戦争
著者等紹介
都筑卓司[ツズキタクジ]
1928年浜松市生まれ。海軍兵学校、旧制一高から東京文理科大学物理学科へとすすみ、同大学院では統計力学を専攻。物理学の全分野にわたって幅広い知識をもつ。横浜市立大学で教鞭をとり、同大学名誉教授。2002年7月惜しくも逝去された
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かんやん
27
初版1970年(三島事件)、ハイゼンベルクが「ドイツ物理学会の天皇として君臨」なんて、まだ存命の頃か!本書は2002年の新装版で、著者の没年なんですね。不確定性原理は星飛雄馬の消える魔球、光電効果は前借金で身を拘束された遊女の比喩で語られる(笑)1トンの自動車の運動の不確定性は、一兆年の10万倍走って1㎝とな。位置の不確定性に運動の不確定性をかけると、プランク定数になる。その関係式(ハイゼンベルクの不確定性原理)にハタと膝を打つ。まあ、わかってないです。最後に妙な戦争小説(歴史改変?SF?)が付いてる。2022/08/04
Yukicks
24
運命決定論・・・科学を突き進めていけばすべての因果関係は明確になり、すべてが明らかになるという考えが正しいのかを問う本です。 ラプラスの悪魔(初期状態が分かれば、人間の運命も含めすべてのものの未来は予測できるスゲー奴)は存在しうるのか?がこの本のテーマです。 星飛雄馬の消える魔球(巨人の星)やSF太平洋戦争などの話を題材に量子論について書かれているので読みやすい部分もあるが、詳しい解説部分が難しく中盤で諦めかけました。2013/05/21
kitten
15
図書館本。BISビブリオバトル部明日香さんのおすすめ。量子論のややこしくて難しいところを、できるだけかみ砕いて簡単にした入門本。かみ砕きすぎて、プロローグは星飛雄馬の大リーグボール(消える魔球)だし、最終章にはプランク定数を使ったSF小説?まで出てくる。これ、初版が書かれたころにはまだハイデルベルクが生きてるんだよね。さすがに表現が古すぎるところあるから、誰か現代のネタで書き直してくれないかな?確かに、名著だと思う。理解できたかどうかは別問題だが。2023/02/01
いりあ
8
物理学者 都筑卓司氏による不確定性原理についての解説書。1970年発表の同名書籍の新装版。不確定性原理がどういったものかについて初めて触れるには、とても良くできた内容です。しかし当然ですが、本書を読んだだけで不確定性原理を理解できるほど甘くはありません。本書に登場する例え話ですが、もともと書かれたのが50年前ということを考えると「巨人の星」、「SF戦争」、「忍術」などを取り上げたのも分からなくはないかな。 2020/01/20
がくちゃびん
8
科学ファンやSFファンからすれば誰もが耳にしたことがあるであろう不確定性原理。その原理の意味するところをなるべく平易に解説した本。とはいえNewtonのようなうわべをなぞったものではなく、後半はなかなか踏み込んだ部分まで解説を試みていて、シュレディンガーの猫の意味するところや、物理学者たちの解釈はどのようなものか、といった部分が説明されてて、興味深く読めた。ただ、最初と最後にお寒い創作話が挟まれるため、そこで興ざめさせられるのが残念だった。2016/12/11