内容説明
１９３８年１０月３０日午後８時すぎ、アメリカで緊急ニュースが流れた。「火星人が着陸した」というのである。目撃者へのインタビュー、大統領の声音によるメッセージなどをまじえたニュースだった。かのオーソン・ウェルズの演出による、Ｈ・Ｇ・ウェルズの『宇宙戦争』のラジオドラマだったが、アメリカ中がパニックに陥った…ＣＢＳは７５万ドルの請求を受けたが、それは却下された―これはアメリカの空想犯の話。空想犯アンノが極上の空想法を伝授。
目次
私は空想家
ブラックボックスの風景
錬金術と遺伝子
上手と下手
「想い」の時
砂時計
窓からの面会者
女と仮面
父のような椅子
ミツバチ〔ほか〕
著者等紹介
安野光雅［アンノミツマサ］
１９２６年、島根県に生まれる。山口師範学校研究科を卒業。欧米でもアノー（ＡＮＮＯ）の名で知られている画家。国際アンデルセン賞画家賞、ボローニャ国際児童図書展グラフィック大賞など受賞多数。著書には『ふしぎなえ』『旅の絵本Ｉ～ＩＶ』（以上、福音館書店）、『ＺＥＲＯより愛をこめて』（暮しの手帖社）、『絵本 平家物語』『絵本 シェイクスピア劇場』（以上、講談社）、『生きることはすごいこと』（講談社ソフィア・ブックスなどがある
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鏡也
18
「ABC」と「年賀状」の話で笑いを堪えるのに苦労した。Aで天使の絵を描いたつもりが、「それじゃあキューピッドだよ」と言われたり。棒の中を白にしろと言われてその通りにしたら、「棒に色を塗る意味に、国に帰ってから気づいたよ。」と言われ、作者「いや、そこまで考えてねーし」。年賀状は、刑務所から出したように見せかけたら友人一同、真に受けて電話がひっきりなしにかかってきたり。さらに恩師が実際に刑務所を訪れて、安野さんに騙されたことに気づいたり。読み終えてから、タイトルの秀逸さにさらに噴き出してしまった良書。2016/09/22
きょう
11
軽い読み物を予想してお出かけに持ったら、電車内で読みながら想像するのが難しくて考えすぎ、電車を乗り過ごしそうになりました。安野さんの空想世界は広すぎてなかなかたいへんです。遠近法の説明もおそらく理解できていないですが消失点から絵を覗くのはいつかやってみたいです。距離が逆転する例をあるある、とまた考え。あとがきに疑う力とあり、言葉をそのまま受け取った後に考えることが大事なのだと思いました。読書は本を閉じた後に考える時間が持てますが、ネットで情報を浴びているとそれはなくなるなと思います。覚えておきたいです。2023/12/30
123456789wanko
2
空想をテーマにした随筆集。思わずくすっと笑ってしまうもの、う〜んと唸らされるものなど、さすがの筆の運び。年賀状がすごすぎる、１度でいいからいただきたいものです。2012/05/04
さくらこ
1
安野さんの名前は知っていましたが、たぶん絵本など読んだことがないです。ただ、安野モヨコが「安野」の名字は安野光雅から取ったと、安野光雅との対談で言っていたのを聞いて、気にはなっていた人物でした。『ABCの本』、見たくなりました。「『想い』の時」、「命令形を失う」、「座標感覚」など文章の鋭さが光ります。「アリの戦い」の後に「私は自然を愛さなかった」を配するメッセージ。/年賀状、私も欲しいです。2012/06/23
