内容説明
つまずくこともある。病むこともある。自分の内にありながら、どこかとらえどころのない人間の心。“魂の医者”カール・グスタフ・ユングがひもといた人間心理の謎を、日本を代表する“こころの専門家”と“こころの表現者”が、深い独自のまなざしでたどり、見つめなおす。魂の根源に語りかける名講義録。
目次
心の病いとは何か
夢でもうひとりの自分に気づく
心がだんだん癒えてくる
魂の扉をひらく
死を抱きしめる
谷川俊太郎詩解釈
カール・グスタフ・ユング略年譜
1 ~ 3件/全3件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けんとまん1007
80
お二人の対話ですすむ、ユング心理学についての講義・・講義というよりも、河合隼雄先生のこれまでの歩み・思考のありかたが、語られている。人に対する視点だけでなく、それは社会への視点でもある。先生と患者の関わり方・距離感の取り方など、示唆に富む。また、日本とヨーロッパとの文化の違いが、どう、そこに影響しているのかも興味深い。自分自身の人・社会との関りかたの参考にもなる。2022/07/22
ケイ
71
35年前の刊行。谷川さんが河合さんに質問する形で対話が進む。河合さんの著作に谷川さんの詩が引用されていたりするが、この頃からの付き合いなのか。ユングについてやその療法、また河合さんの行っている療法などが説明されているが、近年の著作と比べ少し読みにくい。最後に谷川さんの詩をいくつか分析されているのだが、遠慮があるのか、切り込み方が足らないようにも思う。河合さんは、谷川さんを自己肯定の強い人、幸せな子供時代を送った人と評しているが、確かにそんな気がする。2014/07/21
もちもちかめ
33
濃い読書でした。読んでるだけで河合隼雄先生が大好きに。そういや、村上春樹もよしもとばななもこの人に会いたいって会いに行ったんだ…分かる!分かるわ~。谷川俊太郎もこうして会いにいってるし…こんな人が日本にいたのかとビックリする。2017/06/14
しょうじ@創作「熾火」執筆中。
29
【1回目】1979年初出だから、もう40年前の刊行となる。学部生の頃から気にかけていたが、ようやく読めたのも読友さまの促しのおかげ。うっかりすると、既知のものとしてするすると読んでしまうのだが、河合体験は自分の変化とシンクロすることがあるので要注意だ。つまり、ここでは書けないようなことが、自分にも起きていたということ。河合隼雄を読んで、ユングをわかったつもりになってはならないと聞くことがあるが、それは当然のことで、そもそもユングをわかること自体困難だし、河合は河合であって、ユングの嫡子でもないからだ。2018/08/13
hope
27
再読、初登録。稀有な賢人たちの濃密な対談。 「ああ、そうか。ある一枚の絵をとても好きだというのは、それに自分を投影して、なにがしかの救済を得ているわけですね」クリエーションとカウンセリングは似ている。 印象深い言葉に溢れている。今回の一番は「みんなが平等に少しづつ泣くということが一番いい」2020/08/10