出版社内容情報
公園の公衆トイレで顔を洗う女子中学生だなんて、死んでもばれたくない! 泥沼のような貧困を生きる少女を描いた講談社新人賞佳作! 母さんが茶色の紙袋を揺らしてる。
ものすごく久しぶりのハンバーガー。ポテトもある。ドリンクも。つばが出てきて、ガツガツ食べて、ゴクゴク飲んだ。
「そんなにあわてて食べなくても」
母さんは疲れた声で、でも、笑ってた。さびしそうに笑って、ビールをゴクリゴクリとのどに流しこんでいる。
母さんはどうやってこのお金を作ったんだろう。
想像したら、のどが詰まった。食べつづけることを拒否することも考えたけど、いいにおいと食欲に負けた。なにも考えないことにして、久々の味を楽しむ。
すべてを味わいおえたあと、どうしようもなく苦しくなった。ゴミ袋と包み紙が、あたしに問いかけてくる。
おまえは何者だ。なんで、平気で食べられるんだ。
そしてまた、そう思うそばから別の自分が否定する。
考えるな。考えたら生きていけなくなるぞ。
――本文より
母子家庭で育つ中学3年生の麻美は、「一番ボロい」といわれる市営住宅に住んでいる。家はゴミ屋敷。この春から心療内科に通う母は、一日中、なにもしないでただ寝ているだけ。食事は給食が頼りなのに、そんな現状を先生は知りもしない。 夏休みに入って、夜の仲間が、万引き、出会い系とつぎつぎに非行に手を染めていくなか、麻美は同じ住宅に住む同級生がきっかけで、学習支援塾『まなび?』に出会う。
『まなび?』が与えてくれたのは、おいしいごはんと、頼りになる大人だった。
1 マヨネーズとハンバーガー
2 パンの耳と野菜炒め、それから海苔弁
3 湯気の立ったソース焼きそば
4 カツ丼、チャーハン、ハンバーグ
5 クリームパンと塩おにぎり。あったかいお茶も
6 ハンバーグ弁当。ひときれのパン
7 貧乏チャーハンとフレンチトースト
栗沢 まり[クリサワ マリ]
著・文・その他
内容説明
母子家庭で育つ中学三年生の麻美は、「いちばんボロい」といわれる市営住宅に住んでいる。家はゴミ屋敷。この春から心療内科に通う母は、一日中、なにもしないでただ寝ているだけ。食事は給食が頼りなのに、そんな現状を先生は知りもしない。夏休みに入って、夜の仲間が、万引き、出会い系と非行に手を染めていくなか、麻美は同じ住宅に住む同級生がきっかけで、学習支援塾『まなび~』に出会う。『まなび~』が与えてくれたのは、おいしいごはんと、頼りになる大人だった。泥沼のような貧困を生きぬく少女を描いた講談社児童文学新人賞佳作!
著者等紹介
栗沢まり[クリサワマリ]
作家。都留文科大学卒業。公立中学校で国語教諭として勤務後、塾講師、学習支援塾スタディアドバイザーなどを経験。『15歳、ぬけがら』で、第57回講談社児童文学新人賞佳作受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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