喜嶋先生の静かな世界

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  • サイズ B6判/ページ数 343p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062166362
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

百周年書き下ろし! 待望の新作がついに!
大学に入学した僕は授業に失望していたが、4年生になって卒論のための講座で助手の喜嶋先生と出逢ったことで、学ぶということの真の意味を見い出していく。

内容説明

学問の深遠さ、研究の純粋さ、大学の意義を語る自伝的小説。

著者等紹介

森博嗣[モリヒロシ]
1957年愛知県生まれ。工学博士。某国立大学の工学部助教授の傍ら1996年、『すべてがFになる』(講談社文庫)で第1回メフィスト賞を受賞し、衝撃デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

absinthe

197
面白かった。理系の世界、特に理論系の中でもとりわけ孤独な業界で、自伝的な作品ではないだろうか。外からは内に籠っている人にしか見えないがその内には広い世界が待っていた。世界を表現しきったとまでは言えないと思うけど、試みが良かった。実験系と違い、理論系では成果を出し損ねると論文にしにくい。つきつめても成果は出ないこともある。深まれば深まるほど、他人には見えない大きな世界が見えてくる。これは説明しがたい世界だ。詩的に表現された思索の描写は好き嫌いが分かれるに違いない。2021/03/04

kishikan

113
「六人の超音波科学者」で初めて出会って以来、ミステリや小説は全てを追いかけ、物理や科学、コンピュータの話を織り込んだ話にのめり込んでいたが、もう森さんの新本(小説)は読めないものと思っていた。だが今回、突如講談社100周年書き下ろしで復活してくれた、うれしい!。僕には、喜嶋先生も橋場君も森さんの姿ではないかと思う。理想と現実の姿、それを淡々と綴ったんだろうなと思う。「フォークをくわえても、スパゲッティを食べても涙が止まらないから、一か八かワインにかけた、という感じだった。」こういう表現がたまらなく好きだ。2011/02/15

ruki5894

81
王道を進む喜嶋先生が身を置く世界は、静かで孤独で少しだけ狂気だ。だからこそすごく崇高で感動した。読後切なさの残る余韻を引きずって、浸っている。2017/06/21

ひめありす@灯れ松明の火

57
学部生だったころを思い出す。ものすごい刺激があるわけでもなく、ただやるべきことをこなしていくことで終わった日常。いつの頃からだろうか、学ぶことの面白さの虜になったのは。自分の好きなことを突き詰める喜びを、識ったのは。よく、大学生活はモラトリアムだといわれるけれど、決してそんなことはないと思う。静かな学びの世界から、人を追い立てるのは何?いつから大学は時間の流れに身を任せる空間になった?終わらないものなどなく変わらないものなどないのだから、この世界だけは、永劫放置しておいてほしい。静かに、しずかに。2011/01/18

藤月はな(灯れ松明の火)

54
森氏の作品の1つ、「冷たい密室と博士たち」では「学問は面白いからやるものだ」という言葉が未だに印象強く、残っていたので学問とは人の考えを参考にして自分で1つの事柄について追求していくことというような意味を持っていることや日々の生活の中では研究を続けていくことが難しいと言う事実をこの本から改めて確認させられました。「私も自分なりの研究(文系ですが)を追求していけるのだろうか?」と思いつつも喜嶋先生の純粋な生き方が羨ましくなりました。2010/11/18

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