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ファミリー・シークレット

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  • サイズ B6判/ページ数 348p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062161992
  • NDC分類 916
  • Cコード C0095

出版社内容情報

柳美里が小説に閉じ込めてきた「過去」と向き合った感動ノンフィクション
「柳美里に虐待疑惑」――臨床心理士・長谷川博一氏とのカウンセリングを受けながら、みずからの過去の闇を照らす作業に入る。
(柳美里のカウンセリングを行う長谷川博一氏は秋田連続児童殺害事件で畠山鈴香の心理鑑定を行うなど、心理療法、犯罪心理<心理学的鑑定>を専門とする臨床心理士。)

<推薦コメント>
肩書きも、洋服も、そして顔の皮膚さえ剥き去って、
血を流し痛みにのたうちまわりながら、家族に、自分に正面から
向き合う―。ここまでしなければ“治癒”に至らないのだとしたら、
精神科医として私がやって来たことはウソなのか。
精神科医をやめたい、とはじめて思った。
香山リカ(精神科医)

柳美里は「親と子」の関係を、もっとも濃密な愛情ともっとも激しい憎しみが
混ざり合う戦場として描いた。一度読み始めれば、読者は目をそらすことが
できない。そして、最後に、これが絶望を希望に変える戦いの記録であるこ
とに気づくのだ。
高橋源一郎(作家)

闇は、すべての家族にある。
この本は、その闇を消し去るための光ではなくて、その闇を見るための光だ。
そしてもしそうであるなら、光が光として在るための闇、という言い方も、
できるのかもしれない。
江國香織(作家)

生きていることの意味を知れば、どう生きてゆくかを見つけるのは容易い。
柳 美里 悲しいくらいに繊細で美しい人。
土屋アンナ(モデル・女優)

――「二つの約束をしていただきたい。
一つは、自分の命を消さないということ。
もう一つは、ほかのひとの命を消さないということ。
約束できますか?」

2008年、柳美里宅に児童相談所の福祉司たちが訪れた。ベストセラー『命』でもその誕生を描かれた柳美里の長男は、いま10歳になる。児童虐待を疑われた柳美里。そして、彼女も実の親から虐待を受けていた。
果たして、これは「再演」なのか。虐待の連鎖を止めることはできないのか。

そして、最後に、彼女の闇を作り上げてきた一人の人物―父と26年ぶりの対決で、すべてが明かされる。

1 なぜわたしは愛するわが子を叩くのか 
2 「虐待」 カウンセリング第一回2009年8月1日
3 夢に出てきた男の正体
4 ある「虐待母」を訪ねて 名古屋にて
5 「二つの夢と息子」 カウンセリング第二回2009年10月31日
6 わたしと息子の現在
7 「母性」 カウンセリング第三回2009年11月1日
8 畠山鈴香と「碧いうさぎ」
9 父が死ぬ前に、話しておくこと
10 「26年ぶりの対話の前に」 カウンセリング第四回2010年1月24日14時
11 刺を失くした時計
12 「父・柳原孝に逢う」 カウンセリング第五回2010年1月24日16時
13 記憶にかかるフィルター
14 「最後の夢で見たもの」 カウンセリング最終回2010年1月25日
15 家族という檻のなかで


柳 美里[ユウ ミリ]
著・文・その他

内容説明

「子どもなんて、いなければよかった」作家・柳美里が、小説に閉じ込めてきた「過去」と初めて向き合った、家族「再生」への感動ノンフィクション。

目次

なぜわたしは愛するわが子を叩くのか
「虐待」―カウンセリング第一回2009年8月1日
夢に出てきた男の正体
ある「虐待母」を訪ねて―名古屋にて
「二つの夢と息子」―カウンセリング第二回2009年10月31日
わたしと息子の現在
「母性」―カウンセリング第三回2009年11月1日
畠山鈴香と「碧いうさぎ」
父が死ぬ前に、話しておくこと
「26年ぶりの対話の前に」―カウンセリング第四回2010年1月24日14時
棘を失くした時計
「父・柳原孝に逢う」―カウンセリング第五回2010年1月24日16時
記憶にかかるフィルター
「最後の夢で見たもの」―カウンセリング最終回2010年1月25日
家族という檻のなかで

著者等紹介

柳美里[ユウミリ]
1968年生まれ。高校中退後、劇団「東京キッドブラザース」に入団。93年、『魚の祭』で、岸田國士戯曲賞を最年少で受賞。97年、「家族シネマ」で、芥川賞を受賞。99年、『ゴールドラッシュ』で、木山捷平文学賞を受賞。01年、『命』で、第7回編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞作品賞を受賞、これに続く『魂』ほか、『命』四部作は累計百万部を超えるベストセラーとなる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

優希

99
自分の全てを脱ぎ捨て、血すら流しているような印象を受けます。過去と向き合うことはそれだけ辛いことなのでしょう。深く難しい暗い闇。自分で自分を痛めつけているような文章が刺さります。一歩引いたところに佇んでいても、何処かで自分に傷を負わせているようで重さと苦しさを感じさせました。虐待されて育ち、自分も同じことをしてしまう負の連鎖が痛い。心の中を吐き出していく凄まじさの中で、彼女が救われることを願ってやみません。2016/10/24

里季

28
以前に「8月の果て」という小説を新聞で読み、なんて悲しい話を書く人だろう、と興味を持っていた作家だった。本書は、小説ではなく、自身の精神的な問題と「虐待された子は虐待する人になる」とよく言われることを、実際にカウンセリングによって解明していく過程をつぶさに語ったものである。作者は、複雑な家庭で、虐待を受けながら育ち、今また自分も複雑な家庭環境に置いて自分の息子を虐待してしまう、という状態を断ち切るべく、カウンセリングを受ける。その方法や、作者と父親との記憶の違いがあることに、考えさせられることがあった。2013/09/17

スリカータ

25
凄まじい作家としての業に、戦慄を覚えた。自らの腹を切り裂き、五臓六腑を広げて見せられたような感覚。虐待の連鎖。柳さんの父親の長々とした演説が空恐ろしい。記憶のフィルターは自ら都合の良いように作用するのか。長谷川氏とのカウンセリングを重ね、少しずつ変わってゆく。その詳細な記録。それでも劇的に解決するほど単純なものではなく、明るい兆しを薄っすら感じるにとどめる。ただ10年前の本なので、現在福島に転居した柳美里さんの穏やかな表情と成人した息子さんに安堵しながら、遡り労った。2020/06/19

みぃ

19
全身の至る所から血が噴き出しているような・・痛々しいから目を背けたいけれど 目をそらせなくて動けなくなるような本だった。柳さんの一級のフィクションにハマったと思いたい。そうではないなら自分の中に住む哀しい子どもと現実に苦しむ我が子の両方を助け上げて抱きしめて安心させてあげられることができますように。2013/03/25

CCC

16
当人の意識はさておき、著者を軸とした二代の虐待の記録になっていたと思う。虐待加害者としての自身と向き合うためにカウンセリングを受け、虐待被害者としての自身と向き合うという流れ。虐待と言ってもなかなかむずかしく、虐待していたと思しき父と著者の記憶に大きな食い違いあるなど『藪の中』的な感触もある。カウンセラーもユング派で、手法的にどうかと思う箇所もあり、大丈夫なのかこのカウンセリングはと思ったりもしたが、そういう部分も含めて生々しかった。2022/07/29

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