阿修羅

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  • サイズ B6判/ページ数 277p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062152594
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

妻は三つの「わたし」を生きていた。
交叉する三つの人格に対峙する、夫と医師。
それぞれの「わたし」という物語はいかに紡がれ、いかに統合されていくのか?
幾つもの人格が解離し、しかも同居する精神―日本でも増えつつある「解離性同一性障害」という心の病いをテーマに挑んだ、僧侶にして芥川賞作家の最高傑作小説。
記憶と意識、情念と無意識の狭間を行き交う人間の心の不思議に、文学は救いの手を差し伸べられるのか?
「この病気の方に実際にお会いした印象は今でも忘れられない。そして、知れば知るほど、あまりに文学的な病いであることに驚嘆した。無意識に『わたし』の都合でまとめられる人格と、そこからはみだし解離していく『わたし』たちの物語を、私は何年かかっても書きたいと思った。現代は解離の時代である」 ―玄侑宗久
「阿修羅像を多重人格として読み替える美しくも大胆な試み。小説家の想像力がまたひとつ『解離』の扉を開けた」 ―斎藤環(精神科医)

玄侑 宗久[ゲンユウ ソウキュウ]
著・文・その他

内容説明

妻は三つの「わたし」を生きていた。交叉する人格に対峙する、夫と医師。それぞれの「わたし」という物語はいかに紡がれたのか?幾つもの人格が解離し、しかも同居する心。日本でも増えつつある解離性同一性障害という心の病いに、文学は救いの手を差し伸べられるのか?記憶と意識、情念と無意識の深い闇に挑んだ畢生の傑作。

著者等紹介

玄侑宗久[ゲンユウソウキュウ]
1956年(昭和31年)福島県三春町生まれ。慶應義塾大学文学部中国文学科卒業。京都天龍寺専門道場に入門。現在、三春町・臨済宗妙心寺派、福聚寺住職。2001年、『中陰の花』で第125回芥川賞を受賞。以来、小説、エッセイ、対談集など旺盛な著述活動を行なっている。京都・花園大学文学部国際禅学科客員教授、福島県立医科大学経営審議会委員なども兼務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

オカメルナ

31
解離性同一障害で3人の人格を持つ実佐子。彼女がどうしてそうなってしまったのか探る杉本医師らと各々の人格のやり取りが興味深かった。が、かつて読んだダニエル・キイスの『5番目のサリー』や『24人のビリー・ミリガン』のインパクトが強かったため物足りなさを感じた。実佐子の幼少期のトラウマが解明されてゆくにしたがって3人の人格が統合されて行くということは理解できるが、その描写があっさりしているという感は否めず、もう少し突き詰めて欲しかったというのが正直な感想。2012/06/11

巨峰

30
解離性人格障害いわゆる二重人格に真正面から取り組んだ小説。このテーマの小説を読むのは貴志さんのISORA以来になります。参考文献にISORAが揚がっていたのには、ちょっとわらったけど、あちらは超能力がらみ。治療としてはこちらの方が、王道かな。僕は興味深く読めました。ISORAほどの衝撃はなかったけど。2011/04/03

みわーる

19
多重人格を扱った小説。障がいとまでは言わなくとも、誰しもこんな経験はあるのではないか。失恋した我を乗り越えるために、ハッチャケた自分が出てきたり。職場のセクハラ爺さんを遠ざけるために、言葉の荒い厳しい自分が出てきたり。優しく繊細な友をいたわるために、思慮深い丁寧な自分が出てきたり。相手によって「私」は変わる。相手がいろんな「私」を引き出すのだ。たったひとりに確定される「私」という人格は、存在しないのかもしれない。となると、自分が相手を引き出しているとも言える。この読書を契機に対人関係について考えてみよう。2024/04/30

くみこ

18
リゾート先のホテルで、妻が突然見知らぬ女性になる…ホラーではなく解離性同一障害を持つ女性とその夫、治療に当たる精神科医達のお話。多重人格を阿修羅像に重ねたり、患者の心情をボードレール に沿わせたりと、僧侶で作家の玄侑さんらしさが溢れる作品です。読むほどに人間の不思議さと複雑さを思い知らされ、自分の本当の人格ってどうなんだ?と考えてしまうと思います。2018/04/20

しゅしゅ

12
いくつかの人格を持つ主婦と、それに立ち向かう精神科医の話でしたが、主婦が抱えていたトラウマというのが予想以上に浅かったのには驚きました。終盤で今までの人格が消えるのも、明確な理由がよく分からず、はて。どうしたものでしょう。精神科医の亡き妻もこの主婦と同じ病気だった点もなんか都合が良すぎて納得できませんでした。2015/03/03

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