出版社内容情報
これはセックスと経済の物語
セックスは男が女にふるう根源的な暴力だ。
「週刊時代」の編集長、カワバタ・タケヒコは、仕事をエサに、新人グラビアアイドル、フジサキ・リコを抱いた。政権党の大スキャンダルを報じる最新号の発売前日、みそぎのつもりで行った、その場限りの情事のはずだった。
世俗の極みで生き続けた男が、本来の軌道を外れて漂い始める、その行き着く先にあるものは?白石一文が全身全霊を賭けて挑む、必読の最高傑作!
講談社創業100周年記念出版
第22回山本周五郎賞受賞
白石 一文[シライシ カズフミ]
著・文・その他
内容説明
「週刊時代」の編集長、カワバタ・タケヒコは、仕事をエサに、新人グラビアアイドル、フジサキ・リコを抱いた。政権党の大スキャンダルを報じる最新号の発売前日、みそぎのつもりで行った、その場限りの情事のはずだった。世俗の極みで生き続けた男が、本来の軌道を外れて漂い始める、その行き着く先にあるものは?白石一文が全身全霊を賭けて挑む、必読の最高傑作。
著者等紹介
白石一文[シライシカズフミ]
1958年、福岡県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。出版社勤務を経て、2000年『一瞬の光』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さと
88
一度生を受け、そこそこの年月を生きてきたひとなら心の底に澱がごびりついているだろう。男であり父であり夫であり病人であり上司であり部下であり・・・。それぞれの役割に表と裏があり蠢く感情を淡々と魅せてくれる。カワバタが自分の中に存在する複数の自分をどうまとめていくのか 下巻が楽しみ2018/02/13
クリママ
47
イヤな感じの書きだし、ここでコーヒーに粉ミルクはないだろうなどといちゃもんをつけながら読み始める。40代の週刊誌編集長。赤ちゃんの時に亡くした息子や政界を揺るがすスクープのことともに、格差社会についての多くの引用や考察が語られる。数日前、浅知恵から息子にそのようなことを話し、論破されたばかりなのだが、この作品で、そんな私の思いが文章になって書かれていてうれしい。「余分なものを切り捨てる生き方」は、読んだばかりの篠田節子「ゴサインタン」にも通じる。18年前の作品だが、私にはとてもタイムリーな小説だった。2017/02/09
イノ
40
気になる題名だから、ずっと気になっていたが、やっと読み始める事が出来た。ガンの再発に怯えつつ、週刊誌の辣腕編集長カワバタのスマートな日常に惹かれる。彼の思考を追ってミルトン・フリードマンのインタビューや仏陀のノコギリの譬えなど、雑多に飛ぶ引用も面白く楽しめる。リコをこの人悪い人だよと言う、死んだ息子の幻の声はどう関わって来るのか下巻が気になる。2016/03/11
ケイ
18
癌との闘病、格差社会、職場でのきれいごとではすまされない出来事、結婚というものへの考え方、病気とセックス、どれがテーマなのかわからないほど話はあちこち飛ぶ。主人公が、しっかりしているようで、色々なものに流されるままになっていないかとこちらが不安になる。「この世のすべてを敵にまわして」のように、白石さんの人生観が最後に全面に押し出されてくるのかと予想しながら下巻にすすみます。2012/10/06
本読みじいさん
14
雑誌編集長としての顔をもちながら家族、病気、社会との関係。下巻をかりてこなければ。2012/02/29